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2019年10月28日

「住む権利」と「所有権」、不動産を分けて相続できる「配偶者居住権」とは?

2018年の民法改正により新設された「配偶者居住権」をご存知でしょうか。遺産相続の際に、新たな節税にもつながり得る制度です。その特徴と注意点について専門家に解説して頂きました。

[解説者]

株式会社フジ総合鑑定

代表社員 髙原 誠氏

・残された配偶者の住居を確保する新制度

・配偶者居住権の相続税評価額とは

・配偶者の死去により配偶者居住権は消滅する

残された配偶者の住居を確保する新制度

配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人(亡くなった方)が所有していた建物に居住していた配偶者が、原則として亡くなるまで、無償でその居住建物を使用および収益できる権利です。配偶者居住権を取得した配偶者は、敷地の利用権も取得することになります。そのため、不動産を売却して換金しなくとも、「済む(使う)権利」と「所有する権利」に分離して相続することができます。

この権利は前述のとおり、被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人の所有建物に居住していた場合において、遺産分割、遺贈(遺言による贈与)、死因贈与、家庭裁判所の審判により認められます。

ただし、被相続人が、居住建物を配偶者以外の人と共有していた場合には認められません。

なお、配偶者居住権は譲渡することができません。その建物を使って収益を得ることはできますが、増改築をする場合や、第三者に使用収益させる場合は、所有者に承諾を得る必要があります。

 

配偶者居住権の相続税評価額とは

配偶者居住権や敷地利用権は、相続税の課税対象となります。施行日は2020年4月1日ですが、2019年の税制改正で、その相続税評価額の算定方法が明らかになりました。それが下で解説している計算式です。

複雑ですが、要するに建物の相続税評価額(=固定資産税評価額)から配偶者居住権の存続期間分の減価償却を行って、期間満了時点の建物価格を算定し、それを現在価値に引き直した額を建物価格から差し引いたものが配偶者居住権の評価額となります。

残存耐用年数は「その建物にあと何年住めるか」を指し、存続年数は原則として「配偶者があと何年生きるか(平均余命年数)」を指します。存続年数は、遺産分割協議や遺言等で期間を定めることも可能です。

存続年数が残存耐用年数を超過している場合は、建物の評価額がそのまま配偶者居住権の評価額になります。まお、敷地利用権には耐用年数の概念はありません。

配偶者の死去により配偶者居住権は消滅する

配偶者居住権は、配偶者の死亡時(期間を定めた場合はその期間満了時)に消滅し、その際、所有者に税金は課されません。すなわち、一次相続時に配偶者が配偶者居住権を、子が所有権を相続し、その後に配偶者が亡くなると、結果的には子が低い相続税負担で自宅の完全所有権を得られることになります。これが新たな節税方法となる可能性は少なくありません。

なお、配偶者は配偶者居住権を放棄することもできますが、その際、所有者が対価を支払わなかったとき、または著しく低い対価を支払った時は、贈与があったものとされ所有者に贈与税が課されます。

配偶者居住権付き建物を譲渡(売却)するケースも想定されそうですが、この場合の課税関係はまだ明確ではありません。

配偶者居住権は、残された配偶者の住居を確保するために創設されました。しかし、節税対策の一環にもなり得るため、正しく理解し、じょうずな活用方法を検討しましょう。

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