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2021年04月23日

不動産投資ローンの審査に通る方法 その条件を解説

不動産投資には、不動産投資ローンを借り入れて手持ち資金以上の物件を購入し、投資効率を高められるというメリットがあります。不動産投資ローンを借り入れるためには、金融機関の審査に通過しなければなりません。ここでは、不動産投資ローンに通りやすい条件や審査の流れについて紹介します。

執筆者

品木 彰

保険・不動産ライター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

保険・不動産ライター。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大手生命保険会社にて7年半勤務し個人営業と法人営業の両方を経験。

のちに、人材会社にて転職エージェントとしての勤務を経て、2019年1月にフリーライターとして独立。
不動産や保険、税金など幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。

不動産投資ローンの審査は厳しい傾向に

2021年現在、金融機関による不動産投資ローンの審査は、ひと昔前よりも厳格化されています。金融庁が金融機関に行ったアンケートによると、投資用不動産向け融資の実行額は、2018年から減少傾向にあります。

※出典:金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」

 

融資実行額の減少は、2018年に起こったスルガ銀行「かぼちゃの馬車事件」をはじめとした不正融資問題が原因といわれています。融資資料の改ざんや審査基準を下回る人への融資実行などが問題となり、金融庁からの監視が強化された結果、金融機関は不動産投資向け融資の審査を厳しく行うようになりました。

 

不動産投資ローンの審査に通過するためには、金融機関が審査する項目や融資審査の流れを把握し、入念に準備することが大切です。

不動産投資ローンの審査に通りやすい条件

不動産投資ローンの審査に通過しやすい人の特徴について、ひとつずつ紹介します。

 

・自己資金を多く入れられる・現金資産が多い

頭金の割合が多いほど、計画的にお金を扱える人だと評価され、不動産投資ローンの審査に通過しやすくなります。ローンの借入時に発生する事務手数料や印紙税などの支払いに充てる資金とは別に、購入金額の1~3割程度の頭金を準備するとよいでしょう。

 

また借り入れる人の資産が多いのも、不動産投資ローンの審査に通過しやすい人の特徴です。資産は、価格が変動しやすい株式や投資信託のような有価証券よりも、預貯金で保有しているほうが審査に有利であるといわれています。想定外の修繕費用の発生や家賃収入の低下には、現金資産のほうが対処しやすいためです。

 

・収入が多い・勤続年数が長い

融資の審査では、借り入れる人の年収や、安定した収入を得られる見込みがあるかどうかが確認されます。収入が多い人や勤続年数が長い人は、金融機関から返済が滞るリスクが低いと判断されて、融資の審査に通過しやすくなります。

 

・ほかの借り入れが少ない・信用情報に傷がない

金融機関は融資の審査時に、ほかの借入状況や返済を滞納した履歴などを、信用情報機関に確認します。住宅ローンの自動車ローンなど、ほかの借り入れが少なく、返済を一定期間にわたって滞納した履歴がない人ほど、金融機関の評価は高くなるのです。

 

反対に、預貯金や不動産などの資産よりも借金が多く債務超過となっている人や、返済を一定期間滞納した履歴がある人は、融資審査に通過しにくい傾向にあります。

 

・物件の収益性が高い

不動産投資ローンの審査では、購入する物件から安定した家賃収入を得られるかが、慎重に審査されます。賃料収入が、ローン返済の原資となるためです。

 

不動産投資は、不動産を他人に貸して家賃収入を得るという「事業」です。投資する物件の特徴を整理し事業計画を入念に練ったうえで、安定的な家賃収入が見込める物件であることを金融機関に説明できるように準備しましょう。

 

・不動産の市況がよい

不動産市況がよいときは、不動産価格は上昇する一方で、金融機関からローンを借りやすくなります。反対に不動産の市況が悪いと、金融機関は融資が回収できなくなるリスクを避けようとするため、ローンが借りにくくなります。

 

不動産投資ローンを利用する場合は、不動産市況の変化に注目し、借りやすいタイミングを考えることが大切です。

不動産投資ローン審査の流れと審査期間

次に、不動産投資ローンを申し込む場合の流れを解説します。

事前審査(仮審査)

不動産投資ローンを申し込むタイミングは、物件の売買契約を締結したあとです。物件の売買契約を結んだにもかかわらず、融資審査に落ちてしまう事態を避けるため、契約前に事前審査を受けるのが一般的です。 事前審査に要する期間は、数日~数週間程度かかります。

ローン申し込み

事前審査に通過し、購入する物件の売買契約を結んだら、不動産投資ローンを申し込みます。申し込みには「登記簿謄本」や「レントロール(賃貸借契約の状況をまとめた書類)」など、多数の書類が必要です。 また会社員であれば「直近の源泉徴収票」、自営業であれば「最低でも3期分の決算書もしくは確定申告書」など、収入を証明する書類の提出が求められます。

本審査

必要な書類をそろえて、ローンを申し込むと金融機関による本審査が開始されます。申し込んだ人が明らかに審査基準を満たしている場合や、審査基準を下回ることが明らかである場合、本審査の期間は1週間ほどです。しかし、すぐに結論が出ない場合は、審査に1か月以上かかることもあります。

契約手続き

融資が承認されたあとは、金融機関と「金銭消費貸借契約兼抵当権設定契約」を結びます。契約書には、金利や融資期間などの詳細な借入条件が記載されているため、内容に問題がないか確認したうえで契約を締結しましょう。

融資実行

金融機関と契約を結び、事務手数料や印紙税などの諸費用を支払うと、物件の引き渡し日までに、金融機関から不動産会社に対して融資が実行されます。

複数の金融機関で融資を申し込む

不動産投資ローンを借り入れる際は、複数の金融機関に申し込むとよいでしょう。金融機関によって審査基準が異なり、「A銀行では審査に通過できなかったが、B銀行では承認してもらえた」という可能性もあるためです。

入念に準備をしても、金融機関の融資審査に落ちる可能性はあります。銀行だけでなく信用金庫や信用組合など、さまざまな金融機関で不動産投資ローンを申し込むと、借り入れられる可能性を高められます。

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