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専門家コラム

2020年09月09日

マンション投資を行うなら首都圏?それとも地方?

不動産投資は不動産のある地域や立地によって賃貸需要や賃料が異なり、その地域の気候や人件費など環境の差で維持管理費も異なってきます。そのため首都圏と地方都市では同じ一棟マンション投資でも大きな違いが生じてきます。ここでは一棟のマンション投資では首都圏と地方都市でどのような違いがあるのか、そのメリットとデメリットを考察します。

執筆者

秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
自宅購入、不動産投資、賃貸住宅等不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、企業研修や各種セミナー講師、書籍、コラム等の執筆・監修にも取り組む。
著書:「賃貸生活A to Z」(アスペクト)、「〔2019~2020年版〕30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方」(監修)(河出書房新社)他

  1. ●首都圏でのマンション投資のメリット・デメリット
  2. ●地方都市でのマンション投資のメリット・デメリット

首都圏でのマンション投資のメリット・デメリット

首都圏は地方都市と比べ地価が総じて高く、賃料も高い傾向があります。この傾向が首都圏での不動産投資のメリットとデメリットに関係します。首都圏での一棟マンション投資では、どのようなメリットやデメリットがあるのかみていきましょう。

首都圏でのマンション投資のメリット(1)

国内の人口が減少する中、首都圏では人口は比較的安定して推移しています。人口が安定しているということは賃貸需要も安定しているということであるため、不動産投資する立地としては適しています。 特に一棟マンションに投資する場合は1か所に複数の貸室を所有することになるため、賃貸需要の少ない地域では1棟を満室にすることに苦労するでしょう。このリスクを減らすために賃貸需要が安定した地域に投資することが基本です。首都圏の場合、鉄道駅や大学、工場周辺といった賃貸需要が比較的安定した地域も多く、一棟マンション投資をするには適した立地が多くあると言えます。

首都圏でのマンション投資のメリット(2)

首都圏では、首都直下地震など大規模な地震が今後発生する可能性が他の地域よりも高いと言われています。入居者にもこうした地震などに対する不安があり、木造のアパートよりも鉄筋コンクリート造などのマンションのほうが地震に対する建物強度が高いという安心感をもっています。そのため、特にマンションの需要が常に一定数あります。また首都圏は地方都市と比べ人口密度も高く、住宅地域では建物が密集しているため、近隣の騒音、火災の延焼などへの対応といった点でも、堅固な建物であるマンションが好まれる傾向があります。 こうした需要の傾向から、木造アパートよりもマンションのほうが賃料も高くなっています。大規模な災害を想定する場合、投資するならできればマンションのほうがオーナーとしても安心です。

首都圏でのマンション投資のデメリット

土地と建物を併せて購入する不動産投資では、首都圏での一棟マンションへの投資は地価が高すぎて投資に見合わないケースが多くなります。もちろん同じ首都圏でも地域差があるため、地域によっては土地と建物を併せて購入しても投資に見合うケースもありますが、その分投資リスクも増えると認識しておく必要があります。   したがって首都圏での一棟マンション投資は、土地をもたない人は参加しにくいというデメリットがあるでしょう。首都圏ですでに土地を所有している人は、一棟マンションに投資する場合、建物の建設費だけになるため投資に参加しやすいと言えます。

地方都市でのマンション投資のメリット・デメリット

ひとくちに地方都市といっても北海道から沖縄まで気候や人口など不動産を取り巻く環境は大きく異なります。そのため一概には言えませんが、地方都市は首都圏に比べ地価が安く、その分賃料が安い傾向があり、この傾向が地方都市での不動産投資のメリットとデメリットに現れます。地方都市での一棟マンション投資ではどのようなメリットとデメリットがあるのかをみていきましょう。

地方都市でのマンション投資のメリット

明らかに首都圏と比べて地価が安い地域は、地価が安い分土地と建物を同時に取得する不動産投資に参加しやすいというメリットがあります。ただし、その地域の賃貸需要や気候などのリスクがあります。特に積雪量や台風の上陸回数などが多いほど、建物が劣化しやすくなります。そういった地域では木造のアパートより鉄筋コンクリート造などのマンション投資のほうが適していると言えます。

地方都市でのマンション投資のデメリット(1)

木造の建物よりも鉄筋コンクリートの建物のほうが建築費は高くなりますが、建物の建築費は首都圏で建てても地方都市で建ててもほとんど変わらない傾向があります。人件費などは若干地方都市のほうが安くなりますが、建築費の大半を占める建材や設備の費用は変わらないからです。 そのうえ、地方都市は首都圏に比べ人口が減少していたり所得水準が低かったりといった傾向があるため、首都圏に比べて賃料も安くなり家賃収入が低い傾向があり、投資した資金が回収できるまでに時間がかかります。したがって地方都市の場合、土地をすでに所有している人だとしても、より慎重に賃貸需要の動向や投資に見合うコストなどを見極め、事業計画をしっかりと検討しなければなりません。

地方都市でのマンション投資のデメリット(2)

地方都市での一棟マンション投資では、取得後の運用上のコストでも首都圏に比べて注意が必要になります。地域によりますが、一部地域では土地の固定資産税評価額と市場価格がほとんど変わらない(あるいは逆転している)ところがあり、また建物の税務上の評価額が首都圏より高くなっている地域もあります。こうした地域では首都圏と比べて相対的に税金が高くなってしまい、相続税や所得税上の不動産投資による恩恵が受けにくいです。     また、先に述べたように積雪量や台風などが多い地域は維持管理費などのコストがかかり、修繕費も設備の地域の出荷数が少ない場合などではかえって首都圏よりも高くなることもあります。そのため維持費については割高になる可能性を考えなければなりません。

まとめ

一棟マンション投資では、安定的な賃貸経営という点においてやはり首都圏のほうが優れていると言えます。不動産投資の難易度の面からみても、運営上は首都圏のほうが初心者向きです。しかし首都圏は一棟マンション投資の価格が高額になるため、金額面で初心者には参加が難しい傾向があります。   地方都市では逆に金額面では一棟マンション投資に参加しやすい傾向はあるものの、その地域の需要や気候などの特性をきちんと見極めなければなりません。そういった運営上のリスクは地方都市の方が高くなる傾向があると言えるでしょう。

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