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コラム

2015年10月30日

入居者の高齢化が進む今、賃貸経営に必要な「安心」の確保

高齢入居者の生活は安全?万一のことがあったらどうなる?入居希望にはどう応じる? そんな賃貸マンションオーナーの心配に対する手立てをご紹介します。

日頃から状況把握を。公的機関の家賃債務保証も備えに。

善良な長期入居者は賃貸経営にとってありがたい存在ですが、高齢で一人暮らしの方だと心配も生じてきます。最近では孤立死などの痛ましい出来事も多発しています。ご所有マンションでそうした事態が起きると、オーナー様の経営にも影響するため高齢入居者への配慮は大切です。

入居者を知る努力と共に、地方自治体の支援も活用

自主管理されているオーナー様なら日頃から入居者の様子に目を配り、賃料回収時などに健康上の問題を抱えていないか確認するとともに、かかりつけ医なども知っておくと万一の時に安心です。また、高齢者の見守りには地域の民生委員との連携もおすすめします。さらに、国も孤立死を防ぐため、地方自治体の福祉担当部局と住宅供給者(オーナー様や管理会社)との連携を推進しているので、ご相談されてはいかがでしょうか。

公共機関を活用しリスクを軽減

高齢者の中には様々な事情で賃貸への住み替えを希望する人がいます。しかし貸す側としては身元や収入の保証がないと安心して契約できません。そこで一つの解決策として、厚労省、国交省を主務官庁とする(財)高齢者住宅財団では、高齢者の入居をこばまない住宅として契約することで、オーナーに家賃債務保証を行っています。(図1) 一定額の原状回復費用なども保証され、賃貸借契約期間の途中でも利用できます。 東京都に賃貸マンションをお持ちなら「公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター」も利用可能。電話回線を使った機器による見守りサービスもあり、安心安全に備えられそうです。また、入居者が亡くなられた場合の残置物の片付けや、室内修繕費に備えられる少額短期保険を取り扱っている保険会社などもありますので、ご検討されてはいかがでしょうか。

バリアフリーリフォームをはじめ、設備の新設・交換で安全を確保

高齢入居者の宅内事故を防ぎ、安心安全なマンションにするには、建物や設備などハード面の見直しも有効です。既存のマンションを改修するには、主に下図のような内容があります。(図2)

バリアフリーリフォームで転倒事故を防止

高齢者の宅内事故で最も多い転倒事故を防ぐには、バリアフリーリフォームで足もとの段差を解消し、床を滑りにくい材質のものにします。同時に水回りや玄関などに「手すり」を付ければ立ちあがったり移動したりする際の心強さが高まります。

設備を見直し、事故が起こらない仕組みを

寒い季節に増えるのが急激な温度変化を原因とする循環器疾患。 居室との温度差が大きいトイレや浴室に暖房設備があると、そんな危険に備えられます。さらに、高齢になると握力や筋力が低下するため、開き戸よりも引き戸が使いやすく、開き戸でもまわすタイプのドアノブよりも、プッシュ・プル式のドアレバーの方が小さな力で開閉できます。防犯・防災対策では、調理に裸火を使わないIHクッキングヒーターや、ホームセキュリティ設備が備えとなります。

空室対策にも有効なリフォーム

リフォームは高齢者に優しいばかりでなく、小さな子供のいるファミリーをはじめ、あらゆる世代の人にとって便利で快適なものです。 空室対策や退去時の改修の際にリニューアルをご検討されてはいかがでしょうか。

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