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専門家コラム

2020年03月31日

マンション経営で失敗する理由と回避方法

マンション経営は不動産「投資」であり、ほかの投資よりもリスクは少ないながら失敗することあります。 そんな「失敗」を回避するためには、事前にどのような失敗事例があり、どのような回避方法があるかを知っておくことが重要です。ここではマンション経営の代表的な2つの失敗事例と、その回避策を解説します。   ・マンション投資の失敗事例case1 ・マンション投資の失敗事例case2 ・どのようにしたら失敗を回避できたか ・まとめ

執筆者

中村 昌弘

 

都内の私立大学を卒業後、新卒で大手不動産ディベロッパーに勤務。ディベロッパーでは不動産の用地仕入れやマンションの販売・仲介業務など幅広く経験(宅建士保有)。現在は独立して不動産関係のライティングも業務の1つとして行っている。

マンション投資の失敗事例case1

・Aさん ・43歳/男性 ・既婚者で子供1人(10歳) ・都内のメーカーに勤務 ・1億580万円で3戸の新築のワンルームマンションを建築

マンション経営を始めたきっかけ

Aさんは都内に新築のワンルームマンションを建築し、経営していました。そのきっかけは、将来に向けた不労所得の獲得に興味を持っており、その中で目に留まった不動産投資に関するセミナーに参加したこと。個別面談等を経て、自分であればマンション経営が可能な程度の借入は可能だということが分かり、キャッシュフロー資料等から収益が高いことに魅力を感じたためです。

結局は返済が厳しくなった

Aさんは9,000万円のローンを組んで土地購入から新築でマンション経営を開始。当初は順調にマンション経営が進んでおり、何せず毎月増えていく預金を見て「マンション経営をはじめて良かった」と思っていました。   しかし、マンション経営をはじめて1年が過ぎた頃のこと。ちょうど引っ越しの多い3月というタイミングもあり、まとまった入居者が出てしまいます。とはいえAさんは「すぐに入居者はつくだろう」と楽観視していたのですが、なかなか入居者がつかず。当然、その間もローン返済は迫ってきます。 また、Aさんの建築したマンションは3戸と決して多い戸数ではなく、空室が続くことによる被害は大きいものでした。 手持ち資金は毎月20万円近く減っていき、ついに空室が数か月続いたタイミングで貯蓄が尽きました。ローンが返済できなくなってしまい、結局、妻の親からお金を借りてやりくりすることになったのです。

結局は安価での売却になった

このような事態になったため、義両親の強い勧めもあり、マンションを売却することにします。土地建物をすべて売却することは大変な損失ですが、このまま借金だけを増やしてマンション経営を続けることは、さらなる損失を生むと考えたようです。結局、築1年しか経過していないのに、購入時から15%もダウンした価格での売却になりました。それでもローン完済には足りず義両親からの借金したため、マンション経営により借金だけが残ったという失敗例です。

マンション投資の失敗事例case2

・Bさん ・41歳/男性 ・既婚者で子供なし ・都内のIT企業勤務 ・1億1,100万円で3戸の新築のワンルームマンションを建築

知人の紹介により投資をはじめる

Bさんは知人に紹介された営業マンと意気投合し、マンション投資をはじめます。当初は億単位のローンを組むことに怖さがあったものの、対応してくれた営業マンが信用できると判断したのが購入の決め手になりました。営業マンが算出してくれた収支表や、将来的なキャッシュフロー表では長期に渡りプラスになっていたので、安心してマンション経営をはじめたという流れです。

予期せぬ支出が発生

当初は順調にマンション経営できていたものの、マンション経営をはじめて4年が経過した辺りから、予期せぬ支出や出来事が発生します。例えばキャッシュフロー表で想定していた以下の費用が、予想より遥かに高額になったのです。   ・入居者が退去するときの原状回復費用 ・共用部の小修繕費用   また、空室率は当初予想していたより倍以上に。 Bさんが建築したマンションは戸数がそれほど多いものではなく、空室一室における被害は甚大でした。 当初予定していたプラスの収益から、一転して赤字経営となってしまいます。それでも赤字経営で2年間は耐えていましたが、黒字経営になる見込みはありませんでした。そのため、結局は安価での任意売却となり、手元に借金だけが残ってしまったという失敗例です。

どのようにしたら失敗を回避できたか

上述した2つのケースは、結果的に赤字経営に耐えられなくなって安価での売却に。そして、手元には借金だけが残ってしまうという失敗例でした。それぞれ失敗につながった原因には、以下のような事柄が挙げられるでしょう。   ・case1:身の丈に合わない借入を行った ・case2:完璧な将来の予測は難しい   それぞれ、詳しい内容と対策についてご説明していきます。

case1:身の丈に合わない借入を行った

身の丈に合わない借入を行ってしまうと、case1のように空室時のローン返済に耐えられません。良くある勘違いが、「金融機関の審査に通過した=自分は支払い能力がある」と勘違いしてしまうこと。 Aさんのように戸数が少ないマンションであれば、一室の空室に対する経営上の影響はなおさら大きくなります。 短絡的に考えるのではなく、空室が続いたり家賃が下落したりしても、少なくとも数か月は問題なくローンが支払える程度の借入額に抑えることが理想でしょう。大切なのはプライベートな支出を踏まえ、自分の適正な借入額をシミュレーションすることです。

case2:完璧な将来の予測は難しい

どんなに優秀な営業マンでも、将来を完璧に予測することはできません。そのため、マンションオーナーは営業マンの話を参考にしつつ、独自に空室リスクや将来的な支出などを想定することが必要です。 今回のBさんの場合であれば、マンションの戸数が少ないため、一室の空室が生じることによる経営面での影響は大きくなることは予め考えられました。 営業マンが提案した収支計画やキャッシュフロー表の精度を上げ、長期的にマンション経営はプラスの利益になると判断したときだけ、マンション経営をはじめることをおすすめします。

まとめ

マンション経営には色々な失敗原因があります。ここでご紹介した「借入額が高額過ぎた」「独自の想定を怠った」という失敗例は、中でも代表的なものと言えるでしょう。 また、そもそもこの2つのケースでは、どちらの場合も戸数がそれほど多くない状況でした。 戸数が少なければ少ないほど、空室一室あたりの影響の割合も高くなります。 しかしいずれも、事前の確認によって回避できるはずです。マンション経営をはじめる前に、しっかり意識しておきましょう。

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