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専門家コラム

2021年05月23日

【2021年】サブリースが変わる!マンション経営への影響

2020年12月15日施行のサブリース新法。新法施行が今後のマンション経営にどのような影響を与えるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。この記事で、サブリース新法では何が変わったのか、どのような影響を与えるのか、気を付けるべきポイントを解説します。

執筆者

矢野 翔一

ファイナンシャルプランナー

関西学院大学法学部法律学科卒業。有限会社アローフィールド代表取締役社長。
保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)、宅地建物取引士、管理業務主任者。
不動産賃貸業、学習塾の経営に携わりながら自身の経験と保有資格の知識を活かしながら金融関係、不動産全般の記事執筆に携わる。
会社HP:https://www.arrow-field-ltd.com/

サブリース新法は悪徳な業者の取り締まりが目的

サブリース契約とは、賃貸物件を一括でサブリースを手掛ける業者が借り上げて入居者に転貸する契約形式です。空室が生じても賃貸物件のオーナー様はサブリース業者から一定の家賃を受け取れるため、空室による収入の変動を気にせずに済みます。また、入退去の度に契約を締結する時間と手間も省けるのもサブリース契約のメリットです。 

マンション経営は多額の初期投資が必要なので、通常は返済期間20~30年程度のローンを契約します。しかし、20~30年程度も安定した収入を得られるか定かではなく、なかなか一歩を踏み出せずにいる方も多くいました。一方で、サブリース契約は安定した収入が保証されており、安心してマンション経営に臨めるとのことで人気を集めました。ところが、サブリース業者が破綻した影響で、多くの投資家が損失を抱えることになったシェアハウスの事件や、オーナー様に不利な契約更新を突きつける事件などをきっかけに、「サブリース契約は危険」という認識が広まりました。

サブリース新法はこのような業者の取り締まりを目的としており、以下の3つの項目が新たに加わりました。 

・誇大広告の禁止
・不当な勧誘行為の禁止
・重要事項説明

 それぞれの変更点について詳しく見ていきましょう。

誇大広告の禁止

サブリース契約を締結した場合、契約期間中は一定の家賃が保証されると思っている方も多いかもしれませんが、最初から最後まで同じ家賃が保証されるわけではありません。サブリース契約では、定期的な家賃の見直しにより家賃が減額される可能性がありますが、業者が募集広告の際にその旨をきちんと伝えないまま契約締結に至ることも。

このような事態を防ぐため、サブリース新法は誇大広告が禁止となっており、定期的に賃料の見直しや減額がある旨、物件の維持保全に関する負担が生じる旨などのデメリットを新聞やホームページといった広告媒体に明確に記載することが義務付けられました。

不当な勧誘行為の禁止

サブリース新法では、契約締結時に不当な勧誘行為を行うことも禁止されています。例えば、契約の判断に影響を及ぼす重要な事項を故意に伝えないといった行為は、不当な勧誘行為に該当します。 

具体的には定期的な家賃の見直しによる家賃減額リスク、契約中でもサブリース業者から契約解除を申し出られる可能性があるといったデメリットを伝えずに勧誘することです。当然事実と異なることを告げて、サブリース契約の勧誘を行うことも禁止されています。

重要事項説明

さらにサブリース新法では、サブリース契約の締結前に重要事項についてまとめた書面の配布と説明を義務付けています。重要事項説明で扱われるのは、これまでに触れた定期的な家賃の見直しや契約中の途中解約についてなどです。

オーナー様の誤認を防ぐ事項が書面として配布されるだけでなく、説明が義務化されたことで、安心してサブリース契約を締結しやすくなったのがサブリース新法の大きなポイントです。

サブリース新法の具体的な内容を知りたいという方は、国土交通省がまとめた「サブリース事業適正化ガイドライン」をご覧ください。

マンション経営の成功は信頼できるサブリース業者との契約が不可欠

サブリース新法の施行によって、今後サブリース契約を締結する際はサブリース業者から正確な情報が提供されるようになり、誤認を誘って契約に至る悪質なサブリース業者は以前と比較して少なくなるでしょう。

しかし、正確な情報が提供されても、オーナー様が正しく理解できなければ意味がありません。サブリース契約を締結する際のリスクを抑えるには、結局はオーナー様自らがマンション経営に必要な知識を身に付けることが必要不可欠です。また、サブリース業者と二人三脚でマンション経営を成功に導いていくためには、信頼できるサブリース業者と契約を締結することも重要です。

まとめ

サブリース新法の施行により、サブリース業者がメリットだけでなくデメリットも含めた正確な情報を提供するようになりました。その結果、これから初めてマンション経営を始める人がサブリース契約を締結しても、認識の誤りが原因で起こるトラブル防止に繋がるでしょう。

しかし、いくらサブリース業者から正確な情報が提供されるようになったとしても、情報を正しくオーナー様が理解できてこそ意味があります。サブリース契約を締結する場合は、メリットとデメリットの両方をよく理解してから締結しましょう。

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