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賃貸経営ニュース

2017年04月01日

2017年4月施行 改正建築物省エネ法とは

地球温暖化ガスの排出量を削減することは、今や世界全体の共通課題となっています。日本は、1980年代より省エネ対策を実施し、産業部門や運輸部門におけるエネルギー消費量を減少させてきました。建築物部門における更なる省エネ対策として2015年7月、「建築物省エネ法」が制定され、2016年4月より段階的に施行されてきました。そして2017年4月、「改正建築物省エネ法」により一定規模以上の建築物の新設・増改築を対象に適合義務や届出等の規制的措置が施行されました。 そこで今回は、建築物の省エネについて、国の取り組みなどを紹介します。

「省エネ」取り組みの強化

経済状況の変化に伴って、建築物におけるエネルギー消費量は著しい増加を見せています。このような社会的な背景から、建築物のエネルギー消費性能の向上を図ることが重視され2016年4月に、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が施行されました。   建築物省エネ法は、大きく「誘導措置」「規制措置」の2つに分けることができます。2016年4月に先行的に施行されたのは「誘導措置」の部分です。

このように、2016年4月施行の「建築物省エネ法」では、すべての建物を対象に、その計画が一定の誘導基準に適合している場合、その計画の認定を所管行政庁より受けることができ、容積率特例などのメリットを受けることができます。

改正建築物省エネ法が2017年4月1日に施行

その後、省エネ対策をさらに強化させるため、2016年11月30日に、いわゆる改正建築物省エネ法の施行令が公布され、2017年4月1日に施行されました。この改正により建築物省エネ法に規制措置が追加されました。 先行して2016年4月に施行されていた誘導措置(容積率特例や省エネ基準適合認定マークの表示など)については継続されます。今回の改正では、以下のような規制措置が定められました。 <改正建築物省エネ法で施行される規制措置> 1.2000平方メートル以上の大規模建築物(住宅を除く) 新築・増改築する際には、所管行政庁もしくは登録省エネ判定機関の適合審査が必須です。建築物省エネ法で定められた省エネ基準に適合している場合のみ着工可能です。 2.300平方メートル以上の建築物(1に該当する建築物を除く) 新築・増改築の届出内容が省エネ基準不適合と判断された際は、場合によっては計画の変更や指示、命令を下すことができます。    

建築物省エネ法の施工に合わせ、省エネ性能向上を目的とした住宅トップランナー制度も同日施行されました。 住宅トップランナー制度は、住宅事業建築主(ハウスメーカー、工務店)のうち、年間150戸以上の住宅を供給する事業主に適用されるもので、建売戸建住宅に関する省エネ性能の向上のための基準(住宅トップランナー基準)に照らして必要がある場合には、国土交通大臣が省エネ性能の向上を勧告することができるとする制度です。

ゼロエネハウスとゼロエネビルって何?

ゼロエネハウス(ZEH)は、ゼロエネルギーハウスの略称です。電力生成設備などを導入して消費エネルギーを自宅でまかなう住宅のことで、「快適な室内環境」と「年間で消費する住宅のエネルギー量が正味で概ねゼロ以下」を同時に実現することができます。 新築する住宅がZEHである場合には、国から補助が受けられます。   <ZEHの設備例> ・太陽光パネル ・HEMS:電気・ガス使用量を可視化し、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム。電化製品や電気設備を接続して使用するもので、家電と設備のエネルギー使用量を自動で制御する機能も付いています。政府は、2030年までのHEMS全世帯設置を目標としています。 ・蓄電池:経済産業省が推奨する、電力不使用時に生成電力を蓄えられる製品です。

  ゼロエネビル(ZEB)は、ゼロエネルギービルの略称です。 再生可能エネルギーを利用して、石油などから生成されるエネルギーの消費量をゼロに近づける建物のことです。ZEBの申請が通った場合には補助金が利用できます。   <ZEBの設備例> ・太陽光発電 ・人感センサを利用した照明設備   政府は、2020年までに標準的な新築住宅をZEH、新築の公共建築物をZEBにすることを目標に設定しました。そして、2030年には新築住宅および新築建物野の平均でZEH、ZEBを実現することを目指しています。

今後はさらに省エネ対策が強化される可能性も

今回は、建築物省エネ法について紹介しました。 省エネは、国によってさらなる対策が進められることが予想されます。地球温暖化を防止するため、住宅性能と同時に私たち一人ひとりのライフスタイルが変わろうとしています。 賃貸経営においても、「環境」という視点を持って快適な住まいづくりを推進していく必要がありますね。

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