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専門家コラム

2020年03月31日

賃貸マンション経営で得られる家賃収入と経費について

賃貸マンション経営をはじめる場合、得られる家賃収入と経費について知っておく必要があります。なぜなら、事業を「収益」という目安で分析し、戦略を立てるなりリスクヘッジするなりする必要があるからです。ここではマンション経営で得られる収入と経費について、計算方法や経費項目などについて詳しく解説します。

・賃貸マンション経営で得られる収入の計算方法や事例

・マンション経営で経費として計上できる項目

・まとめ

執筆者

中村 昌弘

都内の私立大学を卒業後、新卒で大手不動産ディベロッパーに勤務。ディベロッパーでは不動産の用地仕入れやマンションの販売・仲介業務など幅広く経験(宅建士保有)。現在は独立して不動産関係のライティングも業務の1つとして行っている。

賃貸マンション経営で得られる収入の計算方法や事例

賃貸マンション経営で得られる収入は、「マンション経営から得る収入-必要経費」という計算式で算出します。以下より、計算式や事例を解説していきましょう。

 

<賃貸マンション経営から得る収入とは?>

賃貸マンション経営から得る収入項目は以下の通りです。

 

・家賃収入

・駐車場収入

・礼金などの将来返還しない収入

・更新料

・共益費

 

賃貸マンション経営のメインとなる収入は家賃収入ですが、「礼金」など将来返還しない項目も収入となります。一方、敷金などの将来返還する可能性のある項目は収入ではありません。

 

<賃貸マンション経営の必要経費とは?>

賃貸マンション経営の必要経費とは、以下のようなマンション経営に関する支出全般です。

 

・借入金の返済額

・固定資産税や都市計画税

・水道光熱費、防犯システム・CATV・インターネット設備・宅配ロッカー等利用料

・損害保険料

・修繕費用(退去時修繕費用を含む)

・管理会社への管理委託料

・税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)

 ・その他経費(清掃費や消耗品、物件運営のための交通費など)

 

<賃貸マンション経営の収入事例>

では次に、実際に賃貸マンション経営の収入事例を見ていきましょう。ここでは、新築マンション(総額1.2億円)を建築して賃貸マンションを経営しているという想定です。

なお、ここでは「礼金」は一時金なので収入には含めず、毎年かかるわけではない「賃借人が退去したときの原状回復費用」と「修繕費用」も一旦割愛 します。ただし、仮に10~20年以上の長期スパンで収支シミュレーションをする際は、これらの収入・支出を盛り込むことが必要です。

マンション経営で経費として計上できる項目

 

次に、マンション経営で経費として計上できる項目について以下を解説します。

 

・経費として計上するメリット

・経費として計上できる項目

・減価償却費用について

 

<経費として計上するメリット>

そもそも、なぜ経費として計上できる項目を知る必要があるのでしょうか。これは、不動産所得が「総収入-必要経費」で算出されるからです。

不動産所得がプラスの場合は税金が課せられます。そのため、なるべく多くの項目を経費として計上した方が、不動産所得が減額され結果的に節税につながるでしょう。つまり、経費として計上できる項目を知っておくことで、精度の高い不動産所得(税)のシミュレーションができるということです。

 

<経費として計上できる項目>

マンション経営において経費として計上できる項目は、上述した「必要経費」とほぼ同じ以下の項目です。

 

・借入金返済額(利息分のみ)

固定資産税や都市計画税

・水道光熱費、防犯システム・CATV・インターネット設備・宅配ロッカー等利用料

・損害保険料

・修繕費用(退去時修繕費用を含む)

・管理会社への管理委託料

・減価償却費用

・税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)

・その他経費(清掃費や消耗品、物件運営のための交通費など)

 

ただし、借入金返済額に関しては実質全額「必要経費」ではありますが、不動産所得を算出するときの経費としては「利息部分」しか計上できない点に注意しましょう。また、減価償却費用については次項で解説します。

 

<減価償却費用について>

減価償却費用は、マンション経営の経費の中でも高額になりやすいため重要な経費です。そのため、減価償却費用について以下を理解しておきましょう。

 

・減価償却費用の概要

・減価償却費用の計算式と年数

 

<減価償却費用の概要>

減価償却費用とは、建物の取得費用を何年かに渡り計上できる経費のことです。賃貸マンション経営でいうと、マンションの建築費用を毎年少しずつ「経費」として計上できます。ただ、建築費用自体はローンを組んで支払っているケースが大半のため、その減価償却費用の全額が毎年手元の資金から減っているわけではありません。

 

つまり、会計上の収益(不動産所得額)は減価償却費用によって大きく減額できるため節税につながるものの、本当は手元にお金(収入)は残っているという状態をつくりやすいのです。この点は、不動産投資が「節税効果の大きい投資」といわれている理由の1つと言えるでしょう。

 

<減価償却費用の計算式と年数>

減価償却費用は、その建物の耐用年数(構造)によって計算式が異なります。大半のマンションは鉄筋コンクリート造なので、賃貸マンション経営における減価償却費用の計算式は「建物の取得価格×償却率0.022」です。

 

例えば建物の取得価格が1億円なら、年間で220万円も減価償却費用として計上できます。また、減価償却費用を経費計上できる年数は、新築不動産の場合は法定耐用年数と同じです。そのため、鉄筋コンクリート造のマンションなら、47年間もの期間で経費として計上できます。

まとめ

賃貸マンション経営で得られる家賃収入から必要経費を差し引くと、実際に手元に残る収益を計算することができます。ただし、不動産所得を計算するときの経費とは異なる点と、減価償却費用の仕組みについては理解しておきましょう。マンション経営の収入を理解することで、マンション経営から得られる真の収益をシミュレーションしやすくなります。

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