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コラム

2017年02月27日

土地の価格はひとつじゃない?路線価と固定資産税評価額の違い

売買時に重要な「地価」ですが、税額決定にも密接に関わっています。路線価と固定資産税評価額は何が違うのか?なぜ複数の土地価格があるのか?ここでは、4種類の土地の値段について解説します。

公示価格とは?

「公示価格(地価公示)」とは、国土交通省が発表している土地の値段で、標準地1平米あたりの価格で表されます。これは毎年1月1日を評価基準日として、3月下旬頃に公示されます。   公示価格の決め方については、まずは国土交通省の土地鑑定委員会によって「標準地」が選定されます。この標準地は、環境や利用状況、形状や地積などを考慮したうえで「標準的である」と考えられる土地のことで、日本には平成27年時点で23,380地点の標準地があります。 標準地が選定されたら、次は1地点につき2人以上の不動産鑑定士が評価を行います。そして、その評価結果をもとに土地鑑定委員会が審査・調整を行い、その土地の「公示価格」が決定されます。 公示価格を決める過程には不動産鑑定士が介在しており、その評価には収益性や取引事情なども加味されています。不動産取引の価格が公示価格に拘束されるわけではありませんが、国による公的な土地評価の基準として、取引価格について交渉・決定する際の重要な指標のひとつとなっています。

固定資産税評価額とは?

「固定資産税評価額」は、各地方自治体(東京23区については東京都)が3年ごとの1月1日に見直し・発表しているものです。その額については、役所に置かれている「固定資産課税台帳」に登録されており、一般人も閲覧することができます。   固定資産税評価額は、基本的には国が定めた「固定資産評価基準」に基づき、その土地の形状や個別性などを考慮しながら決定されます。ただし、その金額は、上でご紹介した「地価公示価格」の70%程度になるように設定されます。

固定資産税を決めるために利用される

固定資産税評価額は、毎年1月1日に固定資産(土地、家屋および償却資産)の所有者に課せられる「固定資産税」の額を決めるために使われています。また、この評価額は、登記をする際にかかる「登録免許税」や、不動産を取得したときにかかる「不動産取得税」を算出する際の基礎数字にもなっています。   つまり、固定資産税評価額は、税額を算出するためにつけられる土地の値段ということになります。

路線価とは?

「路線価」は、毎年1月1日を評価基準日として、その年の7月に国税局から公表されます。   相続税や贈与税の計算をする際、原則的にはその土地の「時価」を計算しなければなりません。しかし、日本国内にある土地すべてについて時価を計算するとなると、多大な時間と労力が必要になります。 そこで、国税局は各道路に値段をつけ、その道路に面している土地の面積をかけあわせることによって、おおよその評価額を出そうとしました。この「各道路の値段」こそが、路線価なのです。 路線価は、その道路に面する宅地1平米あたりの価格として公表され、国税局のHPや税務署に置かれている路線価図などで確認することができます。   路線価は、税負担をはじめとして国民に大きな影響を与えるものですので、地価公示価格や売買実例価格、不動産鑑定士による鑑定評価額、不動産取引などに精通している者の意見価格など、さまざまな要素を参考に、不公平にならないように決めていきます。 ただし、その額は上でご紹介した「地価公示価格」の80%前後になりますので、路線価については地価公示価格が発表された時点で、ある程度予測することができます。

実勢価格とは?

「実勢価格」とは、実際の市場において売買されている土地の価格のことをいいます。土地には「定価」が存在せず、同じエリア内の土地であっても取引時期やその土地に対する需要、当事者間の交渉などによって安くなったり高くなったりします。 ただ、近隣地域における類似条件下での取引事例をいくつか集めていくと、坪単価や平米単価はおおよそ似たような額になります。この「おおよそ似たような額」のことを、「実勢価格」と呼ぶのです。   実勢価格は、過去の取引における平均値でしかありません。そのため、経済情勢の変化や土地の状態、不動産市場の変化などによっては、実勢価格よりもはるかに安い、あるいははるかに高い価格での取引が行われる可能性もあります。 また不動産会社の広告に掲載されている売土地には「販売価格」が表示されていますが、これはあくまでも売主の希望価格であり、実勢価格と一致するわけではありません。   実勢価格については、それがそのまま土地の値段を決める要素になるということではなく、ある程度の幅がある「参考価格」程度に考えておくことをおすすめします。

さまざまな土地価格の決め方

土地の値段がいくらになるかは、それを決める主体や目的によって変化します。 公示価格、固定資産税評価額、路線価、実勢価格にはそれぞれ異なる目的と意味がありますので、不動産取引をする際は、その点についてよく理解したうえで交渉を進めることをおすすめします。

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