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専門家コラム

2020年06月12日

新型コロナの影響で家賃が払えない方への国の救済措置

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受けて、経済活動が受けたマイナスの影響は計り知れません。その影響で企業の倒産なども発生しはじめており、収入の減少や失業など個人にも大きな影響を与えています。そのため、家賃の支払いが困難になる人が増える懸念があります。そのような方に対し、国は一定期間家賃相当額を支給する「住居確保給付金」の活用を呼びかけています。

執筆者

秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
自宅購入、不動産投資、賃貸住宅等不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、企業研修や各種セミナー講師、書籍、コラム等の執筆・監修にも取り組む。
著書:「賃貸生活A to Z」(アスペクト)、「〔2019~2020年版〕30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方」(監修)(河出書房新社)他。

住宅確保給付金とは

厚生労働省が所管し平成27年から始まった「生活困窮者自立支援制度」による支援の1つが、住居確保給付金です。支援内容は「離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方には、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給します。生活の土台となる住居を整えた上で、就職に向けた支援を行います」とされています。

引用:厚生労働省|制度の紹介

これまでは離職・廃業から2年以内の人を対象としていましたが、令和2420日より収入が減少し、離職や廃業とまで至らずとも同程度の状況に至り、住居を失う恐れが生じている方に対しても住居確保給付金が支給されるようになっています。

以下、給付内容や対象者などについて具体的にご紹介しましょう。

給付額と給付期間

給付額は生活保護の住宅扶助特別基準に準拠し、地域ごとに上限額が設定されています。例えば、東京23区の場合、単身世帯53,700円、2人世帯64,000円 3人世帯69,800円となっています。地域によって給付額は異なりますので、詳しくはお住まいの相談窓口に確認してください。

支給期間は、原則3ヵ月となっています。ただし、一定の要件によって最長9ヵ月まで延長できる場合があります。

対象者

この制度の給付対象者は、以下の要件を満たす必要があります。

・状況

従来は離職、廃業後2年以内の者のみでしたが、現在は給与等を得る機会がその個人の責に帰すべき理由や都合によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者も対象となっています。

 

・収入要件

収入要件として「申請日の属する月における世帯収入合計額が市区町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12+家賃額(住宅扶助特別基準額が上限)を超えないこと」となっています。

引用:厚生労働省|生活を支えるための支援のご案内

つまり東京都23区の場合の目安としては、単身世帯138,000円、2人世帯194,000円、3人世帯241,000円程度となります。

 

・資産要件

貯蓄などの資産要件もあります。申請者及び申請者と同一の世帯に属する方の金融資産の合計額が一定額を超えてはいけません。

例えば東京都23区の場合の目安としては、単身世帯504,000円以下、2人世帯780,000円以下、3人世帯1,000,000円以下となります。

 

また、対象者としては、正規雇用の給与所得者だけでなく、フリーの通訳者のような個人のフリーランスや、アルバイトを2つ掛け持ちしていて1つの事業所が休業のためシフトがなくなった方など幅広く適用されます。

 

学生は原則対象外となっていますが、学生であっても自らが世帯生計の維持者で、定時制等の夜間大学等に通いながら、常用就職を目指す場合は適用となります。また内定取り消しを受けた学生も、収入要件や求職活動要件等の要件を満たす場合であれば給付の対象です。

 

そのほか、個人事業者などで店舗や事務所と住宅を兼ねている場合は、その住居部分は住居確保給付金の対象となります。ただし店舗兼用住宅としての家賃を事業経費としている場合や、賃借人が法人の場合は対象外です。

 

参考:

厚生労働省|制度の紹介

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html

厚生労働省|生活を支えるための支援のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622924.pdf

厚生労働省|住居確保給付金 今回の改正に関する QA (vol 4)

https://www.mhlw.go.jp/content/000626250.pdf

提出する書類など

申請にあたって提出する書類としては、雇用されている労働者(被雇用者)と個人事業主などの場合で異なります。

 

被雇用者である労働者の場合は、労働条件が確認できる労働契約書類と勤務日数や時間の縮減が確認できるシフト表などが必要となります。個人事業主の場合は、店舗の営業日、時間の縮減が確認できる書類、請負の発注者からの発注取り消しや減少が確認できる書類などが必要とされています。自治体に必要書類を確認して各自用意しましょう。

準備できない書類があったとしても、要件に当てはまりそうな方はまずは窓口に相談してみるとよいでしょう。

 

なお令和2430日よりハローワークへの求職申し込みが要件から外されていますので、さらに申請しやすくなっています。

支給方法

支給方法としては、賃貸住宅の賃借人などの申請者に支払われるのではなく、大家など賃貸住宅の賃貸人や管理している不動産会社(サブリース会社等含む)、保証会社など普段家賃を支払っている相手先に支払われる形になります。そのため申請にあたっては、支払先に間違いのないように大家や管理会社に事前に確認しておくことも必要です。

厚生労働省|住居確保給付金の支給に係る事務の手引き

貸主向けの支援

この支援では、給付金が直接大家など貸主に支払われるため、入居者ばかりでなく、家賃を支払ってもらう貸主にとっても安心できる非常に有用な制度です。賃貸住宅の大家などの貸主は、入居者や入居者の家賃を支払っている人(入居者の親族など)などの賃貸借契約の当事者へ自ら周知するか、あるいは管理会社に通知を依頼するかなどの対策を講じることをおすすめします。

さらに、貸主の方に向けた支援策として、家賃収入など事業収入が一定以上減少した場合、賃貸している(事業用)不動産の2021年度の固定資産税と都市計画税がその減少額に応じてゼロまたは1/2になる支援もあります。具体的には20202月から10月までの任意の連続する3ヵ月間の事業(家賃)収入の対前年同期比で50%以上減少している場合はゼロ、30%以上50%未満減少している場合は1/2となります。この支援制度は2021年度のものである点には注意が必要です。

なお、20202月以降、収入が減少(前年同月比▲20%以上)したすべての事業者について、無担保かつ延滞税なしで固定資産税などすべての納税を猶予することも公表されていますので、今年の支払いが厳しい場合は、納税猶予の申請を検討してください。

中小企業庁|新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免を行います

 

経済産業省|新型コロナウィルス感染症 緊急経済対策における税制上の措置

まとめ

住宅は生活の基盤となるものです。家賃の支払いに不安を感じたら遠慮せずに行政が指定する相談窓口に相談しましょう。相談窓口は、都道府県・市・区等(福祉事務所設置自治体)に設置されています。以下では、各自治体の相談窓口の一覧が記載されています。

厚生労働省|自立相談支援機関窓口情報(令和2年05月25日現在)

一方、貸主にとっても家賃が支払ってもらえないことは死活問題になりかねません。住居確保給付金は、直接貸主等に支給されるものですが、賃借人からの申請が必要になりますので、家主または管理会社等からこれらの支援があることを賃借人の方に周知することも大切です。また、ご紹介した固定資産税の減免等、貸主等に向け家賃収入の減少に応じた支援策もありますので、適用の可能性がある場合は相談窓口へ相談することをおすすめします。

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