コラム
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2024年05月29日今、注目の「 ZEH‒M 」とは
脱炭素社会に向けたさまざまな制度がスタート
賃貸経営も省エネ性重視の時代へ!
政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルの達成を目指し、国内のエネルギー消費量の約3割を占める住宅・建築物分野での省エネ対策を加速させています。
そんな中、注目されているのが高い省エネ性能を備えた「 ZEH‒M 」です。
省エネ性能を明示できる「建築物の省エネ性能表示制度」
脱炭素社会を実現するために、今後は〝省エネ性能〟も住まい選びの大切な基準となります。
省エネ性能の情報が消費者にわかりやすく届くよう、2024年4月に施行されたのが、「建築物の省エネ性能表示制度」です。2024年4月1日以降に建築確認申請を行う建築物を販売・賃貸する事業者が対象となり、広告などにおいて 「エネルギー消費性能」 「断熱性能」 「目安光熱費」 の3つの指標で省エネ性能を示す「省エネ性能ラベル」表示が努力義務となりました。
すべての新築の建築物で省エネ基準への適合が義務化
来年の2025年には「省エネ基準」への適合が義務化されます。
「省エネ基準」とは、省エネ性能を確保するために必要な建築物の構造及び設備に関する基準のことで、次の二つの基準から成り立っています。
一つは「一次エネルギー消費量基準」です。一次エネルギー消費量とは、住宅で使われている設備機器による消費エネルギーを熱量に換算した値で、冷暖房、換気、給湯、家電を含むその他の設備など、それぞれでエネルギー消費量を計算。その値を基準値以下に抑えることが求められます。
もう一つは、住宅のみに適用される「外皮性能基準」で、外皮(建物の屋根・外壁・窓・床など)の表面積あたりの熱の損失量が基準値以下となることが求められます。
現在、省エネ基準の適合が義務付けられているのは「非住宅」かつ「中規模建築物・大規模建築物」のみで、300㎡を下回る一般的な住宅については説明義務に留まり、中規模・大規模の住宅においても届出義務とされています。
しかし、建築物省エネ法の改正により、2025年4月(予定)からは、原則すべての新築住宅・非住宅への省エネ基準適合が義務化。建築確認手続きにおいては省エネ基準への適合性審査が行われ、基準を満たしていない場合は着工できません。
さらに2030年には、その基準が「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略)」にまで引き上げられる予定です。
消費エネルギー量を削減する集合住宅「ZEH‒M」
「ZEH(ゼッチ)」とは、断熱性・省エネ性能を高めつつ、太陽光発電などで再生可能エネルギーを創ることによって、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅を指し(図①)、集合住宅においてのZEHを「ZEH‒M(ゼッチ・マンション)」といいます。
省エネ率の達成度によって、省エネ率100%以上の最上級レベルにあたる『ZEH‒M』から、再生可能エネルギー設備の導入が必要ない「ZEH‒M Oriented」まで、4段階が設けられています。(図②)
「ZEH‒M」を選ぶ際のメリットとデメリット
ZEH‒Mの建築を検討されるにあたって、知っておきたいのがメリット、デメリットではないでしょうか。
ZEH‒Mのメリットは、脱炭素社会への貢献をアピールし、他物件との差別化を図れること。特に環境問題に対する意識が高い顧客層には、強くアピールできる物件となります。マンションの資産価値も向上し、家賃設定を高めにできるなど、オーナー様にとって多くの利点が得られます。
また、入居者にとっては、省エネ率が高いため、毎月の光熱費を低く抑えられるという経済的なメリットのほか、高断熱で外気の影響を受けにくく、またヒートショックの原因となる室内の温度差も軽減されることから、健康面、快適性の向上も期待できます。
さらに、太陽光発電の設備や蓄電池を設置しておくと、災害などの緊急時に、復旧までの一時的な電力として活用することもできます。
デメリットとしては、断熱・省エネ・創エネ設備導入のためのコストがかかってしまう点が挙げられます。しかし、ZEH‒Mの建築には補助金制度が設けられているので、適用できる制度については、下記のサイトより最新情報をご確認ください。
社会全体で推進されるZEH建築。建てる側にも、住む側にも、メリットは大きいので、ぜひ、ご検討ください。