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2020年09月09日

コロナ禍後のライフスタイルと賃貸住宅に求められること

新型コロナウイルス感染拡大の影響で在宅勤務、テレワークが拡大し、働き方が大きく変化しつつあります。この状況は今後もさらに継続し、定着していくものと考えられます。こうしたライフスタイルの変化に伴い、住宅に求められる機能も変わってきています。ここでは、こうした働き方の変化に応じた「住まい」の変化について、そして今後の賃貸住宅経営において必要な対策について考えてみましょう。

執筆者

秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
自宅購入、不動産投資、賃貸住宅等不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、企業研修や各種セミナー講師、書籍、コラム等の執筆・監修にも取り組む。
著書:「賃貸生活A to Z」(アスペクト)、「〔2019~2020年版〕30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方」(監修)(河出書房新社)他

  1. ●新型コロナ感染拡大によるテレワークの拡大
  2. ●住まいが解決できるテレワークの課題と対応策

新型コロナ感染拡大によるテレワークの拡大

新型コロナウイルスの感染防止対策から、数か月の間に在宅勤務やテレワークを採用する企業が急増しました。感染症対策という必要に迫られ実際に在宅勤務、テレワークを採用してみると、懸念されていた「出勤しないことによる弊害」は思ったよりも少なく、メリットのほうが大きいと実感した企業も少なからずあったようです。

 

在宅勤務やテレワークの採用による企業側のメリットは、通勤手当などの交通費、事務所の光熱費、ワークスペースの縮小(=賃料等の削減)、紙などの印刷費といったコスト削減が大きいでしょう。ほかにも、勤務形態の多様化により多彩な人材の採用が可能になったり、育児や介護を理由とする離職の防止になったりなど、コスト面以外にもさまざまなものが挙げられます。

 

一方従業員側のメリットは、通勤ラッシュからの解放、通勤時間や無駄な会議時間などの削減、在宅ゆえの隙間時間の有効活用のしやすさ、育児・介護と仕事との両立が可能などといった、ワークライフバランスの実現が挙げられます。

住まいが解決できるテレワークの課題と対応策

在宅勤務やテレワークは企業側、従業員側ともにメリットを感じるところも多く、今後主要な働き方として定着していくでしょう。そして在宅勤務やテレワークの普及にしたがい、賃貸住宅に求められる環境や設備も変化していくと思います。

 

2020年5月に公益財団法人日本生産性本部が公表した「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査 調査レポート」のテレワークにおける課題点から、賃貸住宅で今後求められると考えられるニーズを見ていきましょう。

テレワークの課題

調査で挙がった課題で最も多かったのは、「職場に行かないと閲覧できない資料、データのネット上での共有化(48.8%)」でしたが、これはどちらかといえば会社側で対応すべき内容でしょう。しかし続く課題として「Wi-Fiなど、通信環境の整備(45.1%)」、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備(43.9%)」が挙がっています。

 

机や椅子などの調度品は入居者が自分で用意できますが、その調度品を入れる部屋の間取りや備え付け空調などの建物設備、インターネット接続環境といったものは入居者が勝手に変更、準備できるものではありません。こうした建物本体や付属設備を「自宅で仕事する」時代に合わせ入居者のニーズを掴むことが、賃貸住宅の経営側に求められてくるでしょう。

賃貸住宅の対応策

・インターネット環境の充足

在宅勤務では自宅のインターネット環境が重要となりますが、賃貸住宅内の通信環境はその建物に接続される回線事業者や種類によって大きく左右されます。インターネット回線の接続には建物に専用設備が必要で、その設置の可否は建物所有者の判断となります。

 

たとえば代表的な有線回線である光回線は提供事業者が複数ありますが、どの事業者を選択するかで入居者が利用できるインターネット環境が左右されるため、重要な判断になってきます。

 

・在宅勤務に配慮したワークスペースの確保や設備

これから賃貸住宅を新築する、あるいは間取りの変更など中規模のリフォームをする場合は、あらかじめ在宅勤務が可能な間取りを用意することもよいでしょう。ただし誰もが在宅勤務する訳ではないことは念頭に置いて工夫しましょう。

 

たとえば、少し大きめの収納スペースを玄関やリビング脇に造り、その中に空調やコンセント、回線ジャック、照明などを整備しておくことで、在宅勤務する人は仕事部屋として、在宅勤務をしない人は収納として利用できる汎用性のある間取りとなります。

 

また既存の賃貸住宅であれば、リビングやダイニングの一角に、ワークスペースを仕切る可動式のパーテーションやコンセント、回線ジャックなどを設置するといった簡単なリフォームをするだけでも、在宅勤務する入居者にとって住みやすい住宅になるでしょう。

 

・宅配ボックスの設置

在宅勤務とは一見矛盾するようですが、宅配ロッカーの設置も有効かもしれません。仕事上の書類や物品を受け取る必要がある場合、ちょっとした外出時でも確実に受け取りできるようにしなければなりません。そのため、まだ賃貸住宅では普及率の低い宅配ボックスの設置も有効と考えられます。

 

・棟内に共有のワークスペースを確保

1棟の賃貸住宅の経営者であれば、思い切って1棟のうち1室を居住者専用の共有ワークスペースを提供するといったことも考えられます。こうした共用スペースを用意することで、在宅勤務する入居者は仕事とプライベートのオン、オフや育児や家事と仕事との区分、時間管理がよりスムーズできるようになるうえ、ほかの賃貸住宅との差別化も図ることができます。特に既存の住宅面積では居住空間とオフィス空間を分けるのが難しい場合などは一考の価値があります。

 

出典:公益財団法人日本生産性本部 | 新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査 調査レポート

まとめ

社会がこれまで経験したことのない感染症の影響を受け、働き方が大きく変りつつある今、賃貸住宅も入居者の働き方の変化に合わせた準備が必要ではないでしょうか。新しい働き方に合わせた住環境を賃貸オーナー側で用意することが、ほかの賃貸住宅と差別化を図るポイントにもなります。ここで対策するかしないかで、将来的な賃貸住宅運営に差が出てくることでしょう。

新築やリフォーム時は各種設備などの導入がしやすいタイミングですし、既存住宅でも工夫次第で対応することが可能なものもあります。こうした大きな変革期こそ、うまく対応することでほかの賃貸住宅と差をつけるチャンスなのです。

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