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専門家コラム

2020年12月17日

マンション経営で入居者募集する方法・種類とは?

マンション経営では、当然ながら所有する賃貸住宅に入居者がいなければ経営が成り立ちません。そこでオーナーとして入居者募集をしなければなりませんが、募集業務を不動産会社(管理会社)に依頼することが一般的です。ここでは、マンション経営で入居者募集を依頼する際に知っておきたい委託の種類とその方法について紹介します。

執筆者

秋津 智幸

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
自宅購入、不動産投資、賃貸住宅等不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、企業研修や各種セミナー講師、書籍、コラム等の執筆・監修にも取り組む。
著書:「賃貸生活A to Z」(アスペクト)、「〔2019~2020年版〕30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方」(監修)(河出書房新社)他

入居者募集を委託する媒介契約の種類とは

入居者募集を委託するには、募集業務を行うことのできる宅地建物取引業者、つまり不動産会社と媒介契約を結ばなければなりません。媒介とは、法律用語で一般的にいう「仲介」のことです。媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類がありますが、以下それぞれについて特徴を見ていきましょう。

 

一般媒介の特徴は?

一般媒介の特徴は、複数の不動産会社に賃貸募集を依頼できることです。たとえば、賃貸マンションの管理を委託しているA社のほか、最寄り駅の駅前にあるB社、知人が営むC社にも依頼したいときには一般媒介とする必要があります。

専任媒介と専属専任媒介の特徴は?

専任媒介と専属専任媒介の特徴は、依頼することのできる不動産会社は1社のみになるということです。たとえば、賃貸マンションの管理を委託しているA社に専任媒介または専属専任媒介で依頼した場合には、他社に入居者募集を依頼することはできません。

専任媒介と専属専任媒介の違いは、専任媒介では入居者募集の依頼者であるオーナーが自ら入居者を見つけた場合、不動産会社を介さずに契約でき、これにより仲介手数料を浮かすことができます。しかし、専属専任媒介では必ず委託先の不動産会社を介さなければならず、仲介手数料が発生する点が違いとなります。

媒介契約の違いによるメリット・デメリットとは

媒介契約の種類によってそれぞれにメリットとデメリットがあります。入居者募集の活動にも違いが出てくるので、その点も踏まえてそれぞれについて紹介していきましょう。

一般媒介

・メリット

一般媒介は複数の不動産会社に依頼できるため、物件情報が広く伝わり入居希望者へ情報が届く可能性が高まります。また複数の不動産会社を比較できるのもメリットといえます。たとえば最初は一般媒介として入居者募集の各社の力量を比べて、後々信頼できる1社を選び、その会社と専任媒介とするといったことができます。

 

・デメリット

一般媒介は複数の不動産会社に依頼できるため、不動産会社からすれば「他社が決めるだろう」という意識が生じてしまい、ほかの媒介に比べて責任感が薄れ、募集活動が精力的に行われないこともあります。また一般媒介は依頼者への報告義務がないため、募集状況の報告が適宜行われないことも。

さらに不動産会社側も募集状況(申込みや契約の状況)をオーナーに確認しなければ最新の状況がわかりません。そのため、オーナーは逐次状況を不動産会社に伝える手間が発生するという点もデメリットです。

専任媒介・専属専任媒介

・メリット

専任媒介と専属専任媒介は、専任であるため、不動産会社からすると入居者募集の情報は独占状態になります。したがって成約時には依頼者からの手数料収入が確約されるため、募集活動が積極的になる傾向があります。

また依頼者への報告義務があることも一般媒介と異なります。専任媒介は2週間に1回以上の報告、専属専任媒介は1週間に1回以上の報告をしなければなりません。そのためオーナーとしては安心感があるうえ、募集状況を把握する手間も軽減されます。

 

・デメリット

専任媒介と専属専任媒介は、1社のみへ依頼となるため、依頼した不動産会社の入居者募集の営業力が弱かった場合、なかなか入居者が決まらない可能性があるということです。また前述のとおり、専属専任媒介では自ら入居者を見つけてきた場合でも仲介手数料が発生してしまうため、自ら入居者を見つけられる可能性があるケースではデメリットになる可能性があります。

媒介を依頼した場合の費用について

媒介の種類によって支払う費用、特に仲介手数料は原則として違いはありません。不動産会社が仲介(媒介)した際の成功報酬は宅地建物取引業法によって上限が定められています。入居者募集の場合、成約した際に受け取ることのできる報酬は、賃料の1か月分が上限となっています。報酬の受け取り方としては、賃借人となる契約者または入居者募集を依頼したオーナーのいずれかから1か月分を受け取るか、双方から受け取る報酬の合計が1か月となるようにしなければなりません。たとえば、賃借人から0.5か月、オーナーから0.5か月といった具合です。

なお、依頼したオーナーが、不動産会社が普段実施している以外の特別な広告宣伝などをお願いした場合は、その費用は実費で支払うことがあります。

また昨今、入居者募集の競争が激しい地域では、仲介手数料以外に業務委託費など特別な費用が発生するケースもありますので、賃貸運営にあたっては念頭に置いておく必要があります。

まとめ

マンション経営の入居者募集にあたっては媒介契約の形態が3つあり、それぞれに特徴があります。オーナーの手間の軽減や営業活動の報告などを考慮すると、いずれの媒介契約でも支払う報酬(仲介手数料)は同じであるため、信頼できる不動産会社を選んで専任媒介で依頼することが筆者のおすすめとなります。

 

特に賃貸マンションやアパートの管理を不動産会社に委託している場合には、その会社が最もそのマンション・アパートのことを把握しているため、その不動産会社に依頼するのが得策です。建物の構造や設備、過去の修繕や補修の状況を知っているので、適切な情報を入居者に伝えられるためトラブルも少なくなります。また管理と募集を1社が担うため、迅速な対応も可能になります。

 

ただし、万一入居者がなかなか決まらないなどの場合には、一般媒介を選択して他社と比較してみることもマンション経営者としては必要なことになるかもしれません。