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コラム

2018年07月17日

賃貸経営における「割れ窓理論」活用法

賃貸経営において「入居希望者を増やしたい」「質のいい入居者を増やしたい」というのは賃貸オーナー共通の思いでしょう。また、これから賃貸経営を考えている方も、できるだけ良い入居者をたくさん集めたいですよね。 そこで役に立つのが「割れ窓理論」という考え方です。「割れ窓理論」とはいったいどのような理論なのか、賃貸経営にどのように活かせるのかについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

「割れ窓理論」とはどんな考え方?

「割れ窓理論」は、アメリカの犯罪学者による理論で「物事の悪い部分を少しでも放置してしまうと、それが広がり全体が悪くなってしまう」という考え方です。 たとえば、街中で建物のガラスが割れたままだったり、落書きが放置されたままだったりした場合、きれいにしていた場合と比べて犯罪率がぐっと高まるというものです。 この割れ窓理論をもとに、ニューヨークでは1990年代に街の美化と犯罪取締りに力を入れました。それまでニューヨークはとても治安が悪い街でしたが、落書きを一つひとつ消していくことから始め、地下鉄の無賃乗車を取り締まったり、街中の清掃に努めたりしていったのです。その結果、街の治安が良くなり、結果として凶悪犯罪の発生率を低下させることに成功したといわれています。 このニューヨークの治安向上があってから、割れ窓理論は、犯罪の抑止だけでなくさまざまな場面で応用されるようになりました。 たとえば、飲食店やレジャー施設などのサービス業などにおいて、清掃を徹底し、ゴミひとつ落ちていない状態を保ったとします。すると、客層は変わらないのに、それまでよりも客のマナーが向上してゴミが散らかることが少なくなります。 また、企業で働く従業員のモラル向上のために、割れ窓理論を役立てている企業もあります。

賃貸経営で割れ窓理論を活かす!

賃貸経営においても、この割れ窓理論を応用して役立てることができます。 たとえば、マンションやアパートの共用ゴミ捨て場にゴミが散乱している場面を想定してみましょう。外にあるごみ捨て場にゴミがたくさん捨ててあると、その脇を通る人は「ここにゴミを捨ててもいいんだな」と思い、住人ではないのにゴミを捨てます。当然ゴミ捨て場にゴミが増えます。それを見た別の通行人がまた、ゴミを捨てます。そうするとますますそのゴミ捨て場はゴミで溢れかえるでしょう。あとはその繰り返しです。 もし、賃貸物件を探している人がその溢れかえったゴミ捨て場を見れば「ここに住みたい」とは思わなくなるでしょう。結果、住居希望が減り、空室率は上がるばかりになってしまいます。 そのような状況に陥らないように、物件周りは清潔に保つようにしましょう。共用ゴミ捨て場などにゴミが散乱している場合には、多少時間と費用をかけてでも、一気にきれいにしてしまったほうが良いです。そして、住人に対し、ゴミ捨てのルールとマナーを遵守するよう徹底しましょう。つまり、清潔な状態を当たり前にするのです。しばらくすれば、何もしなくてもゴミが散乱するということはなくなるでしょう。「ここに住みたい」と思ってもらえる確率がアップします。 また、物件をきれいに保つということは、住人のマナー向上にも役立ちます。新しく入った住人も、それに伴ってマナー良く使ってくれます。そして物件は清潔に保たれ、また新たな入居者を呼ぶ……という良いスパイラルに乗せることができるのです。

割れ窓理論はあくまで犯罪学の分野で提唱されているものであり、科学的に証明されているわけではありません。そのため、必ず効果があると決めつけることはできないのが実情です。ニューヨークの治安向上の例も、割れ窓理論だけではなく、そのほかのさまざまな要因が重なり合って効果が生まれている可能性もあります。 しかし、割れ窓理論を応用して物件を清潔に保とうとすること自体は悪いことではありません。物件が清潔になるということは、住人にとってもオーナーにとっても気持ちよく、双方に利益があると言えます。住人以外の人物による不法投棄があって自分の手に負えないという場合は、警察に相談してパトロールしてもらうという方法もあります。 この機会にぜひ割れ窓理論を活用して、一気に物件をきれいにしてみてはいかがでしょうか。

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