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コラム

2018年11月30日

地主の許可は必要?借地相続の際に気をつけるべきポイント

借地に相続が発生する場合、「親が亡くなると地主に土地を返さなければならないのだろうか」と不安に思う人もいるでしょう。実際にはそのようなことはなく、借地権を親の財産として相続することが可能です。そこで、今回はそもそも借地権とは何かということや、相続の際に気をつけておくべき注意点について詳しく解説しましょう。   ・借地権は相続の対象 ・借地を譲渡する場合には地主の許可が必要

借地権は相続の対象

借地権とは、建物の所有を目的としたその土地の地上権、または賃借権のことです。借地権には「借地借家法に基づく借地権」と「民法上の借地権」があります。「借地借家法に基づく借地権」とは、簡単にいうと誰かから土地を借りてその上に家などの建物を建てる権利です。この場合、土地を借りる人は借地権者と呼ばれ、土地を貸す側の地主は借地権設定者や底地人と呼ばれます。一方、建物の所有を目的とせずに土地を借りる場合には、民法上の借地権となります。月極駐車場や資材置き場として利用する場合です。   土地を借りてそこに家を建てている場合、借りている人は地主に対価として毎月地代を支払います。そのことによって「借地借家法に基づく借地権」が発生するわけです。この場合の借地権には、土地の賃借権や地上権が含まれます。借地権は財産と見なされ、相続の対象となります。借地権の種類によって相続税の課税評価額は変わります。

借地権は地主の許可なく相続できる

借地権を相続する場合、借りている土地に法定相続人が住んでいなくても問題ありません。相続した際には、地主に対して「土地の賃借権(もしくは地上権)を相続によって取得しました」と通知するだけです。よくあるケースとして、地主側から「借地権者が亡くなったので土地を返してほしい」という要求を被相続人が受けることがありますが、被相続人はそのような要求に応じる必要はないのです。ただし、借りている土地に建っている建物の所有権は、相続登記をして法定相続人名義に変更しておく必要があるので注意しましょう。   また、借地権には存続期間が定められています。借地借家法の場合、最短で30年です。最長期間に制限はなく、期間を定めなかったという場合は、30年が存続期間です。この存続期間が満了すると借地権は消滅してしまいます。借地権が消滅すると、建物を解体して土地を地主に返さなければなりません。そのような事態を防ぎたいのであれば、事前に地主に対して借地権の更新を申し出る必要があります。更新する場合の存続期間は、最初の更新が20年以上、2回目以降の更新は10年以上であることが定められています。

借地を譲渡する場合には地主の許可が必要

借地権を相続する際に地主の許可は必要ありません。よく相続の際に地主側から賃貸借契約書の名義書換や名義書換料の請求をされることがあります。しかし、相続するのであればわざわざ賃貸借契約書を作りなおしたり、地主に名義交換料まで支払ったりする義務はないのです。ただし、遺贈によって相続する場合には地主の許可を得る必要があります。また、その際には地主に対して承諾料を支払わなければなりません。承諾料の目安は借地権価格の10%程度といわれています。   また、相続権は第三者に譲渡や売却することもできますが、その場合も地主の承諾が必須となります。譲渡や売却した場合には名義変更料などがかかってくるので注意しましょう。名義変更料は遺贈の際の承諾料と同じく借地権価格の10%程度が一つの目安といわれていますが、この金額はあくまでも目安に過ぎません。実際には権利金の支払や更新料なども考慮した上で最終的に決定されます。そのため、譲渡や売却をする場合には不動産会社などに相談するのがよいでしょう。

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