PC集合住宅(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造)の特徴
マンション建築に最適
壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造を材料・構造・工法ごとに見てみると下図のように位置づけられます。壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造(PC造)が、中高層集合住宅建設に優れている理由を、それぞれの特徴ごとに解説します。
プレハブ工法(PC工法)の優位性
安定価格
規格化された部材を専用の自社工場で量産するため、安定した価格で躯体を供給することができます。また、少ない作業員で工事を進めることができ工期も短いので、在来工法よりも建築コストを抑えることができます。
工期短縮
PC工法は短い工期で建物を完成させられます。それは、建設現場の基礎工事と併行して工場で壁や床などの躯体となるPC板を製造するからです。しかも組立てられた建物の精度が高くコンクリートの養生期間が不要なので、建方工事(※)が終わるとすぐ配管工事や断熱工事、内装工事にとりかかることができます。 また工場生産で品質が安定しているため、現場での手直し補修がほとんどありません。天候に左右されることも少なく、スケジュール通りに躯体工事を進められます。 設計における構造計算や建築確認申請の際の構造審査を簡略化できるので、設計期間も短縮されます。この工期の短縮は、入居時期を早めることとなり資金回収が早まるなど、マンションオーナー様にとって大きな味方となります。 さらに、建設現場の手間が少なく、少ない作業員で工事を進めるので、社会問題になっている作業員不足の影響も受けにくい工法です。
※建方工事:現場においてPC板を組立てる工事のこと
※3階建・2LDK・15戸・1棟のモデル工程の場合
高品質
建物の躯体となるPC板は、工場生産ならではの均一で高い品質が保証されています。ISO9001を取得した自社工場で厳しい品質管理を徹底しており、最新式のプラントで製造するコンクリートの強度は設計基準強度の2倍以上(※)あります。
※大成ユーレックの一般的なPC集合住宅の場合
地球環境にも近隣住民にもやさしい
木製型枠をほとんど使わないPC工法は、在来工法に比べて産業廃棄物の排出を約40%減量化でき、木材資源も浪費しません。 コンクリート打ちの騒音や型枠解体時の粉塵など、在来工法につきものの近隣へのご迷惑を最小限に抑えます。
鉄筋コンクリート造の優位性
耐火性
不燃のコンクリート板が、炎をシャットアウト!
1000℃にものぼる火災時の燃焼温度。軽量鉄骨造のアパートでは、鉄骨が変形し建物全体に多大な被害を及ぼします。これに対し壁式PC造マンションは、壁や床が不燃のコンクリート板ですので全く火を寄せつけません。万が一、室内で出火した場合でも、隣接した住戸への延焼の恐れもありません。
耐久性
耐久性ランキングでは、ダントツのトップ!
PC板は雨水が透水しない密実なコンクリートであり、そのかぶり厚さ(鉄筋の表面からコンクリートの表面までの厚さ)が十分確保されているので、PC造の建物にはサビの心配が全くありません。さらに、強風や酸性雨にも強くPC板は優れた耐久性能をもつ理想的な建築部材です。
断熱性
コンクリートは暖まりにくく冷めにくいことが特徴です。また、表面のなめらかなPC板には隙間なく断熱材を張り付けられるので、冷暖房効果が高く、1年を通して快適な居住空間です。
遮音性
集合住宅では、生活の中で生じる様々な音への配慮が必要です。コンクリートは構造体が重く密度が高いので、軽量鉄骨系や木質系の建物と比べて非常に優れた遮音性、耐振動性があります。
壁式構造の優位性
耐震性
震度7の大地震でも、びくともしない建物。
東日本大震災は、東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらした日本観測史上最大の超巨大地震でした。多数の建築物が倒壊しましたが、調査を行った518棟の壁式PC造マンションは、地盤の異常による1棟を除いた全てが無被害または軽微であり、実害を免れました。また、1995年に発生した阪神・淡路大震災でも、新耐震設計法以降に建築および増築した壁式PC造マンション872棟のうち99.66%が無被害で、耐震性の高さを証明しています。
※2012年 日本地震工学会論文集 飯塚正義著「被害状況調査の収集によるプレキャスト建築物の被災の傾向」より