大成ユーレック×賃貸マンション
住宅街での限られた敷地への
搬入がカギ。
難易度の高い状況下でのPC工法を実現した、チームの結束力。




大成ユーレック×新築賃貸マンション「テラス杉並方南町」
「テラス杉並方南町」は東京メトロ丸ノ内線の始発駅「方南町」駅から徒歩6分と好アクセスの賃貸マンション。住宅街に位置しながら幹線道路へのアプローチが良く、恵まれた立地に誕生しました。この物件の誕生に際し、PC(プレキャスト鉄筋コンクリート)工法のパイオニアとして、大成ユーレックが設計・施工を担当しました。
OUTLINE
グループ会社である大成有楽不動産株式会社からの発注案件となる、5階建、PC構造、3棟、85戸の共同住宅。敷地面積を最大限に活用した設計のため、着工以前から使用重機の選定、PC板の搬入車両の動線を綿密に計画する必要がありました。さらに住宅街の中であることから周囲の道路が狭く、資材の搬入をいかにスムーズにロスなく行い、工事を円滑に進捗させるかが工期内に完了させるポイントでした。また、建物の半分を最上階まで建て、その後クレーンの位置を変えて施工する「屏風建て工法」を採用した点でも、難易度の高い現場となりました。

MEMBER
PROJECT FLOW



ミッション~使命・課題・役割~
制限が多い難現場。安全かつ円滑に施工を進めることがミッション。



難しい条件だったこともあり、案件の情報を受け取った時は、本来はRC工法を採用すべき現場かなと感じました。しかし、当社が得意とするPC工法の「工期が短く、仕上がりも綺麗」というメリットを評価してのご発注だと思いましたので、そのご期待に応えることが使命だと認識しました。作業所長である私としては、営業、設計、工事、事務の各部署と連携をとり、お客様のご要望に応えながら、建物を施工していくことを意識していました。

私もお客様のご要望に応えるべく、綿密な施工計画を策定しました。特に、幹線道路から現場へ続く住宅街の道路が狭いため、PC板をはじめとする資材をいかに効率よく、安全に搬入するかが、私にとっての課題でした。また敷地に対して目一杯に建物を建てる計画だったため、工事車両の駐車スペースは数台しか確保できません。そのために初めにひとつの工区を最上階まで組み立て、次の工区、またその次の工区へと順次組み立てていく「屏風建て」という工法を行う必要がありました。

私の役割は、本現場のライフライン関係などの設備工事を一人で担当し、お客様との打ち合わせ内容をスピーディーに現場に反映させることでした。そのため、施工図面の精査・工程に合わせた協力会社の手配を遅滞なく行うことを意識しましたが、85戸という規模は初めてでしたので、挑戦するぞという気持ちで業務に取り組みました。

僕の場合は、入社してから初めての現場であり、敷地ギリギリに建てる難しい計画だと教えてもらっていましたが、果たしてどのように建てていくのか、想像すらできない状況でした。それでもわからないなりに精一杯任された仕事に向き合っていきました。まずは足場仮設とPC板の建方、そしてコンクリート打設という工程を安全に進めるにはどうすればよいのかを考えて臨みました。

そうだね。初めてのことばかりで大変だったと思う。ちなみに長くやってきた私でも、この屏風建て工法は3例目だったから(笑)。私も作業所長として、なにがなんでも必ずやり遂げるという強い使命感を持って取り組むこと、それは最初の段階でみんなに共有していました。




課題解決のポイント
仲間との共有、前向きな姿勢が課題を解決する。



最初の躯体工事までの工程をまず軌道に乗せることが、全体の進捗を左右すると思っていました。いかに工程通りに進められるか。現場代理人としては、お客様と打ち合わせを重ねながら、円滑に進めることを重視しました。特に今回は、建設を熟知したデベロッパーがお客様ですから、専門的な質問を受けた場合でも的確な答えが出せるよう、しっかりと準備をして臨みました。

確かにお客様はデベロッパーですから、その会社独自の仕様や検査方法があります。そこを尊重しつつ、PC工法にも特有の仕様があるため、両立しながら確認をしていく必要がありました。ただ一方で、お客様が同じ大成建設グループということも大きなポイントだったと思います。グループとして良い建物を丁寧につくる、安全・安心で魅力のある建物をつくるという思いを共有することも意識しました。

私にとってのポイントは設備工事担当者ということもあり、複数の現場を兼務していましたから、他の現場とのバランスも考えなければいけないことでした。作成された工程表から逆算して、自分のスケジュールを組むようにしていました。その点で、みなさんにも支えていただいて大変助かりました。

ポイントと言われると難しいですね(笑)。
でも、疑問や課題に直面したら、自分なりに調べて考えを持ってから先輩方に意見を仰ぐようにしていました。あとは現場の職人さん達は知識が豊富なのでよく話を聞いて、わからないことを少しずつ無くしていきました。

〈Nozue〉は1年目だったから、最初は控えめな印象もあったけれど、時間を重ねるにつれて自分から前向きに質問や意見を言えるようになっていったと思うよ!やっぱり姿勢が前向きだと、何か間違ったことがあっても周りがすぐに気づいて助けてくれるし、それを経験に変えることができる。そんなところが非常に良かったと思います。



大成ユーレックの価値
慎重さが求められる作業と図面との調整。現場対応力が私たちの価値。



このプロジェクトにおける当社の存在価値…。一つ確かなのは、私たちがPC工法の集合住宅を得意とする会社であることだと思います。特にこの現場は敷地の制限がある難しい状況でしたから、「PCの大成ユーレック」としての期待に応えなければという思いは強かったです。

「期待に応える」という意味では、最大の難関だと考えていたPC板を吊り上げるためのクレーン車の搬入は腕の見せ所だったかと思います。特殊車両である100トンのクレーン車は、道路を通行できる時間帯が決まっており、今回は朝5時頃に慎重に搬入を行いました。道が狭くて入らないところでは、動線を確保するために事前に仮囲いを動かしました。かなりの重量があるため側溝や水道管を傷つけてしまうのではないかとドキドキしましたが無事に搬入できました。

普段見かけるクレーン車とは規模感が全然違っていて、巨大なクレーン車を慎重に現場に搬入できた時には、驚きと共に感動しました。

なかなかシビれる搬入でしたが、無事にクリアできてホッとしたよね。

私の仕事での苦労は、基礎工事の段階で設備配管の図面について、実際の現場との差異が生じて、建築担当や設計部門との確認や調整をしながら進める必要があったことです。大変だったのですが、その仕事を終えた時には達成感がありました。

難しい現場での作業を慎重にこなしたり、図面上の調整を丁寧にしたり。みんなそれぞれ苦労していたと思います。でもそれがお客様から望まれている仕事のクオリティにつながるので、プロとしてそこを突き詰めるということが、現場における私たちの価値ですね。



成果とやりがい
社会に貢献できるPC工法で建物をつくるやりがい。



まだ2年目なので、確かなやりがいというものはまだ見つけられていませんが、上棟した際は一つの工程を自分はやり切ったんだ、という清々しい気持ちになりました。この工事を最初から最後まで見ていたので、建物が完成した際の感動は大きいものでした。

特に今回のプロジェクトは、近年住宅供給のニーズが高まっている地域で、シンボルになり得る物件の施工だったからね。それを無事竣工できたことは、地域の住環境の改善という点で大きな意味があったと思います。
施工管理は多くの関係者と連携しながら進める仕事であり、発注者や協力会社、関連部署とのコミュニケーションを通じて、一つの建物を共につくる一体感を味わえるのも、やりがいの一つです。工事期間中にはさまざまなことがありますが、それらを乗り越え引き渡しを迎えられると、大きな達成感につながるのだと思います。

もう少し広い視点で言うと、当社が得意とするPC工法による施工は、産業廃棄物の排出量を減らし、工期の短縮ができます。加えてRC工法でよくあるコンクリート打ちの騒音や型枠解体時の騒音や近隣住民への影響を最小限に抑えられるなど、PC工法は大成建設グループが掲げる「持続可能な環境配慮型社会の実現」という目標を達成するための一つのアプローチになっているのだと思います。この工法をリードすることが、世の中に良い影響を与えることだと思うし、当社の社会的な成果につながります。それが仕事のやりがいにもなっているのだと思います。

まだまだRC工法が主流ではありますが、施工の早さや仕上がりの美しさなど、メリットがたくさんあるのがPC工法ですよね。一つひとつのプロジェクトを成功させて、世の中にPC工法の建物を増やしていく。そしてその成果が環境や社会貢献につながることが一番の喜びです。また、建物の明かりが無事に灯った時には、言葉に表せられないほどのやりがいを感じます。




展望
自分のキャパシティを広げ、会社に貢献できる存在に。


みんなの今後の目標は興味あるな(笑)。

私は工事担当者として一人前になり、もっと多くの業務を任せてもらえる担当者になることです。この現場での経験を糧にして、チームや上司の助けになれるよう、自分の得意分野を伸ばしていきたいなと思っています。資格を早く取得することも目標の一つです。

私にとっても、この規模の物件を担当するのは初めてでした。今回の経験で得た課題解決力や複数現場のスケジュールを管理する力を、次につなげていきたいです。そして将来は、さらに大きなプロジェクトに挑戦していきたいです。

私は工事担当者としてのキャリアを積み上げてきましたが、次の目標は頼れる作業所長になることです。今回〈Yamada〉作業所長とご一緒させていただいて、改めて強く感じました。部下に寄り添い、複数の現場をマネジメントできるような、会社に貢献できる存在になりたいですね。

それは嬉しいです!私も工事担当者だった頃を思い出すと、一つの作業所の運営に集中して、安全管理や工程管理をしっかり行うことが主な役割でした。作業所長になってみると、当然その役割は果たしつつも、もっと広い視野でプロジェクトに関わることになります。
複数の作業所を統括することで、すべてに共通している問題点も見えてくる。だから工事担当者が気づかない部分にも気づいてあげられるのです。こういった役割も作業所長の面白さの一つだと思います。
優秀な工事担当者に作業所長の役割を継承していき、よりよい会社にしていくことが私の目標です。
