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専門家コラム

2018年10月20日

資産承継、いま注目の「家族信託」とは?

財産管理の一手法として注目されている「家族信託」。元気なうちの財産管理や資産承継に利点があると言われています。どのような仕組みなのか専門家に解説して頂きました。

[回答者]

株式会社フジ総合鑑定

代表取締役・不動産鑑定士 藤宮 浩氏

fujimiyahiroshi

「家族信託」とは?

「家族信託(民事信託)」とは、保有する資産を信頼できる親族に託して、その管理や運用、処分を任せる仕組みです。信託銀行などが行う「商事信託」には信託業の免許が必要ですが、2006年の法改正により、営利を目的とせず特定の1人から信託を引き受けるものについては免許の必要がなくなりました。

 

家族信託が注目されるようになった理由の一つに、認知症の増加があります。2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれる中、家族信託は、老後の財産管理の方法として期待が寄せられています。

認知症により判断能力が低下すると、預貯金の入出金や不動産管理が困難となり、生活に支障が生じます。そのような場合の支援として、後見人等が本人(被後見人)に代わって財産管理や契約行為を行う「成年後見人制度」がありますが、これは本人の身上や財産を守ることを大前提とした制度ですので、例えば本人の自宅を売却して介護施設の入居費用にあてるといったことは家庭裁判所の許可が必要になります。また、生前贈与や不動産の買い替えなど、本人にとってリスクのある資産運用や相続対策は原則として認められません。

一方、家族信託は将来の判断能力の低下に備えてあらかじめ信託契約を結んでおくもので、財産を託された家族は取り決めの範囲内で柔軟な財産管理・処分をすることができます。

賃貸オーナーにとって「家族信託」のメリットは何?

家族信託は、自分の財産を信託する「委託者」、財産を託される「受託者」、信託財産から生じた利益を受け取る「受益者」で構成されます。例として、高齢の父親が賃貸マンションを所有しているケースでみていきましょう。

 

もしも父親が認知症になってしまうと、入退去時の契約手続きや建物の修繕、建て替えなどができなくなり、物件の維持管理が滞ってしまいます。そこで、委託者を父親、受託者を長男、利益(賃料)を受け取る受益者を父親とする信託契約が対策として考えられます。この場合、委託者と受益者がどちらも父親であることから「自益信託」と呼ばれます。

 

契約の締結により信託財産の形式的な所有権は長男に移り、長男は信託契約の範囲内で、賃貸借契約や将来の大規模修繕、ローンの借り換え等を自身の判断で行えるようになります。なお、借入金の残債がある不動産を信託する場合は、金融機関の承諾が必要になると考えられます。家族信託に対応している金融機関は限られていますが、今後徐々に増えてくるものと思われます。

家族信託は成年後見制度よりも資産活用の選択肢が広がるため、相続対策を子に任せたいと考えている方にとっても適しています。また、委託者が亡くなったときに残った財産は相続の対象となりますが、信託契約の設計次第で、次の受益者や財産の最終的な帰属者を決めておくことも可能です。遺言や遺産分割協議を必要とせず、希望に沿った財産の承継先を設定できることも家族信託の利点です。

 

このようなメリットがある家族信託ですが、比較的新しい制度なだけに経験豊富な専門家がまだ少ない状況です。信託の設計には税務上の注意点(例えば信託財産から生じた損失を信託財産以外からの所得と損益通産できない等)もあることから、実務に十分精通した専門家を選び、説明を受けることが重要です。

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