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賃貸経営ニュース

2018年01月18日

一般社団法人を利用した財産管理はNG!?

収入や財産があると何かと税金がかかるものですが、工夫次第でその税金を少し減らすことも可能です。いわゆる節税です。節税の方法には様々なものがありますが、市場価格と税評価額の差を利用したタワーマンション節税に対抗して平成29年度にはタワーマンションの固定資産税評価額の見直しがありました。平成30年度税制改革では、一般社団法人を利用した節税を制限する見通しです。 今回は、この一般社団法人を利用した節税とはどのようなものか、また、今後どのように制度変更がなされるのかを説明します。

一般社団法人とは?

まず、一般社団法人とはどのような組織なのでしょうか。一般社団法人は、平成20年12月に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人です。社団法人は人の集まりに対して付与される法人格であり、その主な事業は「営利を目的としない活動」です。利益(収益)を出すことは出来ますが、それを分配することが出来ない上持ち分がないという点で株式会社とは異なります。また、社員が2人いれば登記だけで手軽に設立することができるという特徴もあります。

親族が理事となることで実質的に節税に

一般社団法人を利用した節税策は、法人に移した不動産などの資産に相続税が課されない点を利用し、子や孫に無税で財産を引き継ぐという方法が取られています。これは、一般社団法人に持ち分を有する者がいないからこそ可能な抜け道なのです。 具体的には、個人(例えば親)の所有する財産を一般社団法人に譲渡します。そして推定相続人(子や親族)がその法人の理事や理事長となり、団体を通して間接的に財産を引き継ぎます。譲渡時に登記費用や不動産取得税がかかりますが、相続税を抑えることで大きく節税効果を得ることが可能になるわけです。また、財産が収益物件である場合、法人が得た賃料収入は給与として子や孫が受け取ることも可能です。

このような「抜け道」への対策として、政府・与党は2018年度税制改革において、親族が役員の多くを占める法人の財産に相続税を課すなどして、節税のための相続税逃れを防ぐ方針を取り決めました。これにより、これまで行われていた節税目的で一般社団法人を通じ間接的に親族へ財産を移転することが難しくなると考えられます。 この他にも、取引を正規の簿記の原則に従って記録している者に係る青色申告特別控除の控除額を 55 万円(現行:65 万円)に引き下げることや居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長することなど、賃貸オーナーに影響があるような改正も与党の税制改正大綱の中に盛り込まれています。大綱に目を通し、どのような変更がなされているのかを確認してみましょう。

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