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コラム

2021年04月16日

土地活用の企画術④市場動向を中長期に捉え、長く選ばれる賃貸住宅を「企画・プランニング」

土地活用の5つの検討手順から、今回は前回に続き「対策の立案」についてご説明します。

社会が大きく変わりゆく今、差別化による競争力が重要に

総務省が発表した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 (令和2年1月1日現在)」によると、日本国内に住む日本人の人口は1億2,427万1,318人 、前年と比較して50万5,046人の減少と、現行調査開始(昭和43年)以降最大の減少数となり、平成21年をピークに11年連続で減少しています。 こうした人口減少社会への移行に加え、新型コロナウィルス感染症の流行が世界中に広まるなど、私たちの社会そのものが変わりゆく中、賃貸住宅経営を取り巻く環境も大きく変わっていくことになると思います。

とにかく立地さえよければ、細かい戦略を立てずとも入居者は自然と集まるといった賃貸経営の時代は過去のものとなりました。これからは人口減少による供給過剰や、社会環境・ライフスタイルの変化を見据え、厳しい競争に勝ち抜けるような、他物件との差別化を図ることが重要です。

そのために必要なものが、「誰に向けて」「どのような付加価値を持った賃貸住宅を提供するのか」といった企画力です。

新型コロナウィルス感染症の流行により、これまでの日常から新しい日常へと変化せざるを得ない過程の中で、テレワークの推進など働き方をはじめとしたライフスタイルの変化が、共同住宅の在り方にも少なからず影響を与えることになると思います。

市場に溢れるニーズがよい事業企画を生む種に

たとえばテレワークやオンライン授業を想定した間取り・住戸内並びに隣接住戸との音の問題・インターネット環境・在宅ストレスの軽減対策など、新常態と呼ばれるライフスタイルに適応した賃貸住宅をどのように考えるべきか、これから賃貸経営を始める際には、こうした気づきからアイデアを絞りだす発想力と企画力がより一層必要になってくるでしょう。

■市場調査

周辺地域の賃貸住宅需要の動向や将来性といった市場性を調べ、ターゲットとなる入居者や間取りタイプ等、どのような賃貸住宅を建てればよいのか、現地及び周辺エリアの実地調査・インターネット検索・不動産業者へのヒアリング等によって企画立案のベースとなる調査を行います。

①立地・環境調査

地域特性、近隣状況、駅からの距離、利便施設、嫌悪施設、日当たり・方位など、敷地の持つポテンシャルを分析するための基礎調査を行います。

②入居者動向

どのような層の需要があるか、需要のある間取り、家賃相場・稼働率、競合物件を調べます。

③社会・経済情勢

中・長期的な視点に立って、社会経済情勢の今後の流れが土地活用、そして賃貸住宅経営にどのような影響を与えるのか。新聞・書籍・インターネットをはじめとした様々な情報ソースを普段から注視しておきます。

■企画の立案

市場調査に基づき、賃貸住宅の企画・プランニングを以下の①〜④の手順で行います。

①入居者ターゲットの設定

市場調査の結果から総合的に判断して、土地の持つポテンシャルを最大限発揮できるような事業企画と、ターゲットとする入居者層を決定します。この点を明確にしておくことで以降の検討に際してブレの無い企画を立案することができます。

②間取り・プランニングの検討

企画において最も重視すべきポイントが間取りのプランニングです。床・壁・天井で構成された空間をいかに有効に使えるプランとするかがポイントとなります。たとえば、室内廊下をできるだけ少なくすることで居室を有効に使えるようにしたり、プランによっては開き戸を引き戸にすることで使い勝手がよくなる場合もあります。またキッチン・洗面所・洗濯機置場・バスルームといった水まわりのプランを主婦目線で検討し、効率的な動線が取れるよう配置するなど、ターゲットとする入居者のニーズに応える間取りと住戸面積を決定します。

③差別化戦略

賃貸住宅市場においては、需要の増減にかかわらず、一旦供給された賃貸住宅は長期にわたり事業を継続します。このため需給調整が難しく、供給過剰になりやすい傾向があります。人口減少社会といわれる中で、現在の供給過剰状態は今後も続くものと考えられ、あまり個性のない賃貸住宅では競争の波に飲み込まれるかもしれません。これからの賃貸経営は、長期にわたり入居者から選ばれるような、他にない付加価値をつけた「物件の差別化」が重要となってきます。そのため、ターゲットに応じた下記のような差別化戦略の検討が有効です。

④建物構造の選択

ターゲットとなる入居者・間取り・差別化戦略および建物の耐久性・耐火性・遮音性、建物階数、建築コストなどから総合的に判断して建物構造を決定します。 また成長社会から成熟社会に移行していく中で、建物も、古くなるまえに建て替える「スクラップ&ビルド」から、維持管理をしっかりと行ってできるだけ長く活用していく「ストック&フロー」へと時代が変化していくことも視野にいれ、長期的な土地活用ビジョンからも検討しましょう。