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専門家コラム

2021年04月23日

コロナ禍で郊外移住が人気?賃貸経営への影響とは

コロナ禍は私たちの生活スタイルに大きな影響を与えました。その結果、居住する地域にも変化が生じてきています。そこで、実際にどんな変化が生じているのか、調査データをもとに変化を捉え、土地活用にどう活かしていけばよいのか、解説していきます。

執筆者

伊藤亮太

ファイナンシャル・プランナー

岐阜県大垣市出身。慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻修了。在学中にCFPを取得する。
その後、証券会社にて営業、経営企画、社長秘書、投資銀行業務に携わる。
2007年11月に「スキラージャパン株式会社」を設立。
現在、富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。自身としても全国に不動産を所有し賃貸経営を行う。
著書に『図解即戦力 金融業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)、『ゼロからはじめる!お金のしくみ見るだけノート』(宝島社)、『徹底研究 ドクターマーケット開拓術』(近代セールス社)など多数。

コロナ禍がもたらした私たちの生活の変化とは?

スマートアイデア株式会社「家計に関する意識調査(調査時期:2020年3月19日~3月27日)」によれば、出費が増えた項目のTOP3として「食費」「日用品」「医療用品」が挙げられています。外出機会が減ることで交際費が減少しているものの、自宅でかかる費用が増加している模様です。光熱費なども以前に比べて上昇したと感じる方も少なくないのではないでしょうか。

 

また、同調査では自営業の回答者の半数以上が「収入が減った」と回答しています。その後も緊急事態宣言地域を中心に2021年においても収入が減っている方も少なくないのではと想定されます。コロナ禍は家計に収入減をもたらし、その結果、切り詰めることができるところを切り詰めようとする行動が見受けられました。外出自粛で減少した交際費やレジャー費に回るお金を貯蓄へ回すなど、2020年には家計の見直しを実行するご家庭も多かったことが同調査からもうかがえます。

こうした家計行動の変化は、居住地域にも変化を与えています。実は郊外の人気が高まってきているのです。特に借りたい人の間でニーズが高まってきています。それでは、実際のところどんな変化が見られたのでしょうか?

郊外移住、実際の人気はどうなの?

住生活情報サービスを提供するLIFULLが公表したLIFULL「2021年 LIFULL HOME’S 住みたい街ランキング」によれば、首都圏の借りて住みたい街ランキングおよび買って住みたい街ランキングで大きな異変が生じています。

借りて住みたい街ランキングの結果からおわかりのように、ランクがアップしている地域は都心ではなく郊外が多いことがわかります。なぜこうした郊外が注目を浴びるようになったのでしょうか。1位の本厚木をはじめとして、大宮、八王子、千葉、町田など都心と比較すると家賃相場が低めで、都心方面へ乗り換えなしで行ける街に人気が集まっているように見受けられます。つまり、消費を控え、貯蓄を行うためにも家賃を抑えたいという行動から郊外が注目を浴びていると考えられます。

また、コロナ禍によりリモートワークが進み、都心へ通勤する機会が減ったというのも郊外に住む後押しにつながっていると考えられます。郊外に住むことで、人との接触機会を減らすことができるメリットもあります。

上位以外にも、同調査によれば前回調査で141位だった木更津が41位へ躍進しているほか、117位だった湘南台も53位へ浮上するなど郊外人気が熱を帯びているのです。

買って住みたい街は?

買って住みたい街のランキングでは何がいえるでしょうか? こちらについても確認していきましょう。

買って住みたい街ランキングでは、勝どき、白金高輪、目黒、恵比寿といった都心部が上位に位置していることがわかります。一方で、郊外におけるランキングもアップしていることがわかります。借りて住むのか、買って住むのかでは大きくランキングが異なっています。

この違いには、さまざまな理由が考えられるものの、利便性重視、資産価値重視という側面を中心に考えるのであれば都心という傾向があるように考えられます。一方、郊外に住みたい場合は、ある程度通勤にも利便性がありつつ、郊外でコロナ禍の影響を軽減しながらのんびり過ごしたいという希望があるように見受けられます。借りたい人、買いたい人いずれでも郊外のニーズが高まってきているといってよいでしょう。

郊外の土地活用を行うチャンス

ここで、土地活用という視点から見た場合、郊外の土地を活かすなら今がチャンスであることがわかります。住む場所を借りたい人の郊外への居住ニーズが高まることで、郊外のマンションやアパートに対する評価が高まる可能性があります。

既に郊外のエリアに賃貸物件を所有していて、今後の土地活用方法に悩んでいた土地所有者には朗報です。空室がある場合には、リフォーム、宅配ボックスや防犯カメラなどの新しい設備の追加などを心がけることで、入居率をグンと高めることにつながるかもしれません。

今後も、コロナ禍に伴う私たちの生活様式は完全に元に戻ることは考えにくく、一定の郊外居住ニーズは保つのではないかと想定されます。そのため、郊外に土地を所有する方を中心に、リノベーションなど検討されてみてはいかがでしょうか。土地活用、資産価値向上の両面から期待できる時期にきていると考えられます。