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コラム

2016年12月29日

賃貸住宅の市場動向を見る

賃貸住宅の経営において重要なポイントは色々ありますが、市場動向を把握することもそのひとつでしょう。成功している経営者は、常に変化している賃貸市場の動きをチェックしています。 そこで、日本賃貸住宅管理協会が、賃貸住宅管理会社をターゲットにして行った「賃貸住宅市場景況感調査1」の結果をもとに昨今の市場実態を紹介します。データは2012年9月から2016年9月までのものです。これらのデータは、大家さんにも、土地オーナーにも役立つものだと思います。 では、早速、現在の賃貸市場はどのような状況にあるのか見てみましょう。

安定した経営に必要な指標 ―入居率・滞納率―

入居率

まず初めに紹介するのは、入居率です。首都圏・関西圏のエリア別に入居率を見ると、委託管理物件・サブリース物件とも首都圏の2013年上期を除き90%を超えています。入居率の推移をみると、関西圏については、サブリース物件が下降傾向にあり、委託管理物件との差が少なくなっています。首都圏については、上期と下期でばらつきがありますが、ほぼ横ばいと言って良さそうです。

滞納率

滞納率も賃貸住宅経営者、大家さんを悩ませる問題のひとつでしょう。首都圏の滞納率は、5%から7%、関西圏では8%から11%の間です。関西エリアの方が高いですが、微減傾向にあります。また、2か月以上の滞納をしている人が1~2%いるという結果が見られました。 入居者がいる以上、このような家賃延滞は起こりうるリスクです。若い学生や、高齢者の方がうっかり入金を忘れたなんてことをよく耳にします。賃貸経営者は管理会社とも協力しながら、このような問題に向き合っていく必要があります。

ターゲットを見極める指標 ―平均居住期間―

続いて紹介するのは、平均居住期間です。どのような人が、どのくらいの期間入居してくれるのかを把握することで、ターゲットを絞ったり、経営規模の方針を立てたり、参考にしてください。   2016年上期のデータによれば、「高齢者」や「一般ファミリー」が比較的長い期間居住する傾向にあります。反対に「単身者」や「外国人」は短期間で引っ越しをする傾向にあるようです。学生の卒業やサラリーマンの異動、外国人の帰国などの状況を想像すれば、十分に納得できる結果です。 高齢者やファミリー層をターゲットにすれば、中長期的に居住してもらえる可能性が高くなるといえるでしょう。しかし、学生をターゲットにすれば引っ越しのタイミングが予想しやすいので、早めに次の入居者を募集するなどの対策がしやすく、空室の時間を短くすることができるというメリットもあります。賃貸経営を始める際には、その地域の入居者ニーズと共にターゲットの平均居住期間についても事前に把握しておきたいものです。

部屋探しの際に重視される入居条件や交渉項目

最後に、物件探しにおける入居判断の条件について紹介します。 「敷金なし物件」「礼金なし物件」「フリーレント」を条件として部屋探しをする人が前年同時期と比べて大幅に増えています。当然、敷金や礼金がなければ、部屋探しの際の初期費用を抑えることができます。また、フリーレント期間があれば予定よりも早く契約し、余裕をもって引っ越しすることができます。そのため、契約時に「初期費用」や「家賃」についての交渉が行われることもあるようです。十分な時間と費用がない借り手にとって、これらの条件はとても魅力的です。

市場の流れを掴んで失敗のない賃貸経営を

今回紹介したデータから、昨今の賃貸住宅の市場状況が少し見えてきたことでしょう。けれども、ここで安心してはいけません。市場の動向はどんどん変化していますし、地域によっても状況は異なります。常にアンテナを張り続け、賃貸住宅の市場を把握し続ける姿勢を持つことが賃貸経営を成功させる近道だと言えます。   1 公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(2016年12月), 日管協総合研究所https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan16.pdf 最終閲覧日2017年1月6日

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