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コラム

2017年05月15日

アパート経営と高齢者

相続対策や自宅の建替え等で賃貸マンションの建設を検討している方は、仕事を引退し第2の人生を歩み始めるという方も少なくないでしょう。しかし、住宅ローンは、利用者の年齢に制限があるのが一般的です。 それでは、アパート経営やマンション経営のために賃貸物件を建てる時に組むことができる「アパートローン」の利用条件とはどのようなものなのでしょうか?高齢でもアパートローンを組むことができるのでしょうか?

高齢でもアパートローンを組めるのか?

相続税対策ということであれば、手持ちの現金を不動産に替えることで資産の評価額を大きく圧縮することが可能です。土地の価格は変動するものの、相続税評価額(路線価)は実勢価格の8割となり、賃貸住宅が建っていれば貸家建付地として更に2割前後評価額が下るからです。多額の現金を所有されている方は、自己資金で賃貸物件を建てる、あるいは購入することで相続税対策の効果が期待できるでしょう。

一方、土地を所有しているが現金に余裕がない、不動産投資をしたいということであればローンを組むケースが多いでしょう。手持ちの資金が少なくても物件を取得(投資)すれば、不動産経営による収入を得ることができるからです。しかし、アパートローンを組む際の審査は、一般的に住宅ローンより厳しいとされています。住宅ローンの場合は、申込者の収入や勤務先(勤務先企業の規模・業績、勤続年数など)、健康状態が審査対象となりますから、公務員や上場企業のサラリーマンなら評価が上がり審査が通りやすく、高齢の場合は定年を超える長期間のローンを組むことが厳しくなります。 それではアパートローンはどうでしょうか。アパートローンは、高齢であっても組むことができます。ただし、多くの金融機関は「事業の継承人」がいることを条件としています。 次に、アパートローンの審査項目についてみてみましょう。

アパートローンの審査とは?

・事業計画 アパートやマンションの経営にあたり重視されるポイントです。安定した利益収入が見込める事業計画を立てることが大切です。   ・資産価値 当該物件の資産価値を審査します。立地条件や建物構造および耐用年数などを審査し、担保的価値を評価するのです。   ・資産状況 必ずしも現役の会社員である必要はありませんが、安定収入があるのか、他の借入金の有無や資産状況について確認されます。すでに賃貸物件を所有されている場合は、その物件から収益が上がっていればプラス評価となります。 資産は、経営状態が悪化した場合でもローンを返済し続けることが可能であるか判断するための審査であり、住宅ローンが借り手の安定性を重視するのに対して、アパートローンは資産状況を重視します。

アパートローンのリスクに注意

アパートローン最大のリスクは、入居者がいなければローンの返済が困難になることです。一般的には、アパートローンの返済金を家賃収入でまかなう仕組みで、返済額よりも家賃収入の方が多い状態であれば、ローンを滞りなく返済できます。 しかし、空室が多い場合や長期間続いた場合には、当然収入が減少します。収入額でまかなえない返済額は、蓄えから返済することになります。会社員など他に収入源がある人なら別ですが、高齢者など収入源がない人には大きな痛手となります。 このような事態を回避するためには、最初の事業計画が非常に重要になります。空室率や修繕等の費用をどのくらい見込むのかを、賃貸経営の専門家や経験者に相談し、事業計画に反映させましょう。

金利も重要です。 もともとアパートローンは、住宅ローンよりも高い金利が設定されています。金融機関によって条件が異なり、店頭で表示されていないものもあります。また、アパートローンでは融資額も大きくなりますから、僅かな金利差でも返済額に大きな差が生じます。事業性の良し悪しが金利に反映されることもあるので、金融機関の審査が有利に運ぶよう、「事業計画」「資産価値」「資産状況」をしっかり伝えられるよう準備して臨みましょう。

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