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コラム

2016年10月31日

相続手続きの流れを把握する~相続開始から相続税の納付まで~

相続財産が発生したら遺族は相続に関する手続きを進めていく必要があります。手続きには一定の期限が設けられていますので、慣れない作業だからといって遅れるわけにはいけません。そこで、まず相続全体の流れを把握しましょう。手続きの順番や、締切を知ることによって、落ち着いて相続手続きを進められるようになるでしょう。

相続開始から相続税納付までの流れ

相続の手続きを理解するためには、まず全体像を把握することが大切です。まず3ヶ月以内にすべきことです。 ・通夜、葬儀 ・初七日法要、四十九日法要、香典返し ・遺言書の有無の確認 ・相続人の確認 ・相続放棄、限定承認 関係者へ連絡し通夜・葬儀の準備をします。葬儀費用の確保や死亡診断書の取得、死亡届提出などの対応も必要です。一通りの法要が終わったら、遺言の有無の確認、必要があれば家庭裁判所で検認をします。また、戸籍謄本を集めて相続人確定作業を始めます。さらに、相続から3ヶ月以内と決められている相続放棄・限定承認をするかどうかについての決断をします。 次に、4ヶ月以内にすべきことです。 ・所得税・消費税の準確定申告 被相続人の生前の所得税と消費税について相続人が対応します。 最後は10ヶ月以内に行うべき手続きです。 ・相続財産・債務の調査 ・遺産分割協議書作成 ・相続税の申告書作成 ・相続税の納付 ・相続財産の名義変更・登記手続き 財産の調査を漏れなく行い、遺産分割の方法を決め、相続税を計算して納付します。遺産分割協議が完了したら相続財産の名義変更なども必要です。

遺言書有無の確認から相続財産の調査までのポイント

最初のポイントは遺言書の有無の確認です。遺言書がある場合は、原則として遺言通りの遺産分割を行う必要があります。遺言がなければ法定相続分を基礎として相続人全員の合意で分割割合などを決めることになります。また、遺言書が自筆証書遺言か秘密証書遺言だった場合は家庭裁判所での検認が必要ですので、勝手に開けることがないよう注意しましょう。次のポイントは相続財産の調査です。不動産は固定資産課税台帳で名寄せを行えば比較的簡単に把握できますが、預金口座や証券会社口座は通帳などがなくネットで完結していることも多く、把握が難しい場合があります。把握できている銀行預金口座の動きや取引の明細書などから探すとよいでしょう。賃貸マンションは相続税の節税に役立つ可能性がありますので、相続税を申告するまでは売却せず賃貸経営を続けておくことがポイントです。

相続放棄・限定承認の決断、所得税・相続税の申告と納付のポイント

相続放置、限定承認、どちらも3ヶ月を超えると選択できませんので注意が必要です。 相続放棄はすべての財産・債務を引き継がないこと、限定承認はプラスの財産の範囲でマイナスの負債を引き継ぐことですが、被相続人に借入金などの負債が多いことが予想され3ヶ月経っても債務全体が把握できない場合は、放棄か限定承認をしておいた方がよいでしょう。また、所得税や消費税の準確定申告期限が4ヶ月以内と比較的厳しい日程になっている点には注意が必要です。相続税の申告期限は10ヶ月後ですので余裕があると感じるかもしれません。しかし、遺産分割でもめた場合や、相続人がなかなか確定できない、見つからないといった場合は、あっという間に10ヶ月が経過してしまうケースも珍しくありません。相続人が確定できる戸籍謄本は生前から用意しておくなど、残された遺族のために手続きが軽くなるような配慮も大切でしょう。   相続の手続きを進める場合、相続税の申告に関しては税理士、遺産分割に関しては弁護士などの専門家に相談することも考えてみるとよいでしょう。もちろん報酬を支払う必要がありますが、慣れない法律的な手続きは時間的に長くなりますし、自分でやると間違ったりする可能性もあります。ただし、専門家に依頼する場合でも、自分自身が相続全体の手続きの流れを理解し、どの部分を依頼すべきかをはっきりと把握しておくことは大切です。

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