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コラム

2016年06月10日

地震被害による入居者への損害賠償について

地震国日本。東日本大震災の復興活動がまだ行われている中、熊本で震度7の地震が発生しました。国、行政、学校、企業等でも防災への取り組みが強化されていますが、日本に暮らすからには各家庭、個人による地震への備えが必要です。賃貸オーナーとしてはどのような心構えが必要か考えてみます。

地震被害による損害賠償について

熊本地震では、学生向けアパートが倒壊して大学生が死亡するという痛ましい事態が発生しました。建物の損壊により入居者が怪我をしたり死亡した場合、賃貸オーナーの責任はどのように問われるのでしょうか。また避難生活中の家賃負担はどのようになるのでしょうか。

建物に瑕疵があれば賃貸オーナーは故意・過失に関わらず損害賠償責任を負います

賃貸オーナーが部屋を貸す場合、安全で生活に支障なく過ごすことができる住宅を提供する責任があります。少なくとも予見可能な地震に耐えうるような建物である必要があります。現在予見可能な地震とは震度7までの地震が該当すると言ってよいでしょう。1981年に導入された「新耐震基準」では、震度5強程度の地震ではほとんど損傷せず、震度6強~7に達する大規模地震では倒壊や崩壊をしないことを目安としています。経年劣化、過去の地震で入った亀裂を放置した、施工ミス、等なんらかの原因で耐震基準(建築当時)を満たしていない建物の倒壊が原因で入居者が被災した場合、賃貸オーナーは瑕疵責任を問われて損害賠償を入居者に負わなければなりません。

建物の損壊度によって家賃負担が決まる

大きな地震があった場合、被害による危険から逃れるため、入居者は他の場所に避難することも少なくありません。しかし避難している期間も賃貸オーナーと入居者の賃貸借契約は継続しています。このような場合、建物の損壊状況によって、家賃の負担者が変わってきます。まず地震の規模が大きくて建物が完全に崩れてしまった場合、賃貸オーナーと入居者の賃貸借契約は終了したと考えられます。目的物が無くなってしまったので、賃貸借契約を存続できないためです。また建物が損壊していなくても、地震が原因でライフラインが止まってしまった場合も同様との結論が判例にあります。これに対して、建物の損壊は一部で済んでおり今後の身の安全のため入居者が自主的に避難した場合は、賃貸借契約が継続しているものと考えられ、入居者が負担します。ただ建物の損壊の程度に応じ、入居者は賃貸オーナーに家賃減額の請求ができるとされています。(サブリース契約の場合にも、一般的にはこの基準を基に運用されます。) 一方、宅建業法37条では「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を記載する」こととしています。万が一の場合のトラブルを回避するためには、賃貸借契約書に建物が滅失した場合は契約も終了する旨、また損害負担の定めを明記しておく必要があります。

賃貸オーナーの備えとしては、 ・建物に瑕疵がない状態にしておく ・賃貸借契約書に、天災その他の不可抗力による損害の負担に関して明記する ことがポイントです。 また、管理会社および入居者やその保証人の連絡先等もすぐに確認できるように準備しておきましょう。

賃貸経営するなら負担する損害賠償の理解が大切

実際には鉄筋コンクリート造の集合住宅が倒壊にいたることはまれです。しかし、地震による被害は深刻なものでなくても責任の所在を巡ってトラブルになりがちです。例えば、家具が倒壊して物が壊れた場合、壁や床が傷ついた場合、家具を固定していなかった入居者の責任と言えなくもないですが、壁や床の修理については民法606条により貸主負担で行うのが一般的です。

ここで注意したいのは、退去時の原状回復にかかる費用は入居者負担である特約を設けることが通例となっていることです。入居者の不注意による傷も「これはあの地震の時の傷で・・」と言われれば入居者に修繕の負担をさせることは難しくなります。地震発生直後は賃貸オーナーも余裕がないかも知れませんが、頃合いを見計らって貸室の被災状況を確認しておくことが賢明です。

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