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コラム

2016年05月12日

【独自レポート】賃貸入居者に見る設備仕様のニーズ

賃貸住宅を計画する時や入退去時のリフォームの際に「〇〇はつけた方がいいですよ」と仕様のグレードアップを勧められたことはありませんか?広い部屋で収納がたっぷりあって、システムキッチンに浴室乾燥機、防犯設備もばっちり。あれもこれもついている快適な部屋を安く借りられたら入居者は嬉しいでしょう。オーナー様だって快適な部屋にして、入居者に喜んでほしいと思いますよね。でも計画には予算がつきもの。「何を優先して整備すればいいの?」そういう疑問に対して入居者アンケートから答えを探してみました。

■調査方法:インターネット ■調査対象者: 一般の賃貸マンション・アパート(築10年以内)の入居者 (N=927人:RC造、S造、木造各309人) 大成ユーレックPC造賃貸マンション(築10年以内)の入居者 (N=254人:当社PC商品「パルローグ」) ※いずれも物件選定にかかわった人。

賃貸集合住宅における設備仕様の設置率と需要度

設備仕様38項目について、「設置されているかどうか」「欲しいかどうか」を聞いてみました。欲しいのに設置率が低いものは何か?設置されているけど不要のものがあるのか?入居者の気持ちを聞くことで、本当に必要なものが見えてきます。

ニーズを満たしているアイテムは?

設置率を横軸に、「あって良かった」「あった方が良い」との回答を需要度として縦軸にして散布図に表しました。青線は、全アイテムの設置率と需要度の平均値です。緑色のゾーンは「設置率も需要度も高いアイテム」、青色のゾーンは「需要度は高いが設置率が低いアイテム」、オレンジ色のゾーンは「設置率も需要度も低いアイテム」、黄色のゾーンは「設置率は高いが需要度は低いアイテム」になります。

①エアコンは必需品。「都市ガス」「TVモニター付インターホン」も80%以上の入居者が希望 エアコンの設置率は88%、需要度も89%でした。消耗品ではあるものの、引越しに伴って工事が発生するエアコンを持ち運ぶことは入居者の負担が大きく、夏はエアコンを使用する生活が常識になった今、貸室のエアコンもまた必需品と言えるでしょう。また、「都市ガス」と「TVモニター付インターホン」の需要度が80%を超えています。 ②防犯設備のうち、「TVモニター付インターホン」の需要度が高く、「防犯シャッター」は限定的 防犯設備の中では「TVモニター付インターホン」の需要度が82.5%で最も高く、設置率も67%と高めなので、必需品となってくる可能性があります。「オートロック」「ダブル玄関キー」「防犯カメラ」「防犯システム」の需要度はいずれも60~70%ですが、設置率は55%未満に留まっており、「防犯シャッター」は需要度・設置率ともに低く抑えられています。 ③ニーズがあるのに設置率が低い「免震構造」「宅配ボックス」と「防犯ガラス」 表中の青い網掛け部分は『需要度が高いが設置率が低い』アイテム群です。特に「免震構造」「宅配ボックス」「防犯ガラス」は、平均値との差が大きく、需要に応えられていない状況が起きていると考えられます。 ④  設置率、ニーズ共にこれからの「EV車充電器付駐車場」「DIY賃貸借契約」「女性専用マンション」 「EV車充電器付駐車場」「DIY賃貸借契約」「女性専用マンション」は設置率10%未満で、需要度も20%未満であり、ニーズが少ない結果となりました。これらの認知率が低く、またEV車の普及率や入居対象者が限られることが影響している可能性があります。物件の差別化アイテムでもあるため、今後の動きにも注目していく必要があります。

需要度が高い「ふたり世帯」 需要度、設置率共に低い「ひとり世帯」

世帯人数別に設置率と需要度を比較してみました。

①  需要度が高い「ふたり世帯」 「ふたり世帯」の需要度の平均は61%で他の世帯より高くなっています。設置率の平均は「3人以上世帯」とおなじ35%でした。前回のレポート(入居を決める際の重視度)でも「ふたり世帯」が最も重視度が高くこだわりを持っており、結果が一致しています。また、TVモニター付インターホンの需要度が最も高く、90.7%になっています。 ② 需要度、設置率共に低い「ひとり世帯」 「ひとり世帯」は設置率、需要度共に平均ラインが一番低くなっています。ただし、「エアコン」の需要度は90%を超えており、「宅配ボックス」についても66%で他の世帯と同等の需要度が見られました。単身者向け賃貸住宅では防犯システムや浴室乾燥機よりも宅配ボックスを優先して設置した方が良さそうです。また、「ガスコンロ」の需要度が70%を超えているのも注目したいところです。 ③   収納への需要度が高い 「3人以上世帯」 「3人以上世帯」では、ウィークインクロゼットの需要度が74%、シューズインクロゼットの需要度が68%あり、その他の世帯よりも収納への需要度が高くなっています。最も需要度が高かったのは追炊機能で、85.6%でした。

まとめ

今回の調査で、世帯人数による需要度のばらつきを確認することができました。 また、需要度が高いのに設置率が低いアイテムとして「免震構造」が目につきました。反対に需要度が低いのに設置されているアイテムはふたり世帯と3人以上世帯の「グリル機能」でした。

大成ユーレックでは、物件ごとに立地や特性を見極めた計画をしています。これらの結果も参考にして、より入居者ニーズにあった提案を行っていきますので、賃貸マンションをご計画の方はぜひ土地活用無料シミュレーションサービスをご利用ください。計画図および事業収支計画を作成します。

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