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コラム

2015年11月27日

底地を相続したら考える借地権者との問題対処法

管理や維持の大変さにお悩みの方も多い「底地」。 土地を相続した際の地代の値上げ方法や、借地権者から建て替え要望があった際に注意すべきポイントをまとめました。 専門家へ相談をする前に、全容を知っておきましょう。

底地を相続しました。契約書がなく地代も安いので値上げしたい

適切な地代は固定資産税額や近隣相場を目安に判断をしましょう。

一つの土地に複数の権利が存在する「底地」は、管理が難しくなりがちです。長年貸していると何十年も前から賃料が変わっていなく、契約書すらないこともあります。親世代が管理をしていて突然相続された方が戸惑うケースは少なくありません。まずは「底地」とはどういうものか把握しましょう。 土地はオーナー様の所有物でも、借地権者が建物を使用している限り、正当な理由なしにその土地を利用することはできません。底地の地代は賃貸マンションなどの賃料と比べて安いのが通例です。金額は法律上の明確な取り決めはなく、固定資産税・都市計画税の年額の2倍〜3倍が目安とされており、木造の方がコンクリート造などよりも安く、住宅地より商業地の方が高くなります。もしも現在受け取っている地代が納税額を下回っていたり、近隣と比べて著しく安ければ、納税証明書などを根拠に地代交渉も可能でしょう。

契約書が不備な場合には、お子様やお孫様にとっての将来の安心のためにも現時点で正式な契約書を作り、借地権者と取り交わしておくことをお勧めします。契約書の特約には次のことを記載して、条件や金額の目安などを取り決めておきましょう。

専門家への相談がお勧め

地代交渉や契約は専門知識が必要なので、弁護士や不動産業者などのプロに依頼されることをお勧めします。

借地権者が建物を建て替えたいと言ってきました。気をつけるべきことは?

建物の構造・規模が変わらないか要確認。条件変更なら承諾料も割増しに。

借地権者は現時点で建っている建物を利用する以外、勝手に建て替えなどはできず、土地オーナーの承諾が必要です。承諾には慣習的に承諾料の受け渡しを行いますが、その金額は法律で明確に定められてはいません。借地借家法(新法)が制定された1992年より前の借地では、建物の構造によって非堅固建物(木造など)・堅固建物(鉄筋コンクリート造など)に分類されており、借地権の期間は非堅固建物が20年・堅固建物が30年という違いがあります。したがって、建て替えによって建物の構造が変わる場合は、一旦それまでの契約を解除して、新しい契約を結び直す必要が生じます。建物の条件が変わる場合の建て替え承諾料は、同条件の建物の場合よりも高くなります。目安は以下図1の通りです。

融資承諾には要注意!お互いのメリットを優先しましょう

借地権者から建て替え承諾と同時に「融資承諾」に署名・捺印を求められた場合は注意が必要です。融資実行によって建物に金融機関の第一抵当権が付くと、借地権者が経済的に破綻すれば権利が移転します。借地契約が長年におよび、建物の老朽化が進んでいれば、近隣配慮や火災防止のためにも建て替えは必要になるでしょう。したがって、借地権者と土地オーナーがお互いのメリットを見据えて歩み寄り、計画を進められると良いでしょう。

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