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コラム

2015年10月29日

賃貸経営に不動産管理会社を設立するメリット

消費税に加えて相続税も増税…! そこで、法人(不動産管理会社)を利用した税金対策にあらためてフォーカスします。

賃貸経営では法人化すると誰でも節税のメリットがありますか?

法人化で税務上のメリットがあるかは事業規模次第です。個人と法人では適用される税率が異なり、個人における所得税は所得金額が大きくなるほど税率が上がる「超過累進税率」が適用されています。一方、法人における法人税は事業利益が増えても税率は一律の「比例税率」。このため、事業規模が一定水準を越えると会社を設立して賃貸経営をする方が、個人よりも税務上有利になる場合があります。

おおよそ800万円を越えると法人では税率が一定になるのに対し、個人は上がり続け、おおよそ900万円が法人化を検討すべき目安といえます。(図2)

税制改正によって平成27年(2015年)分以降から、個人の所得税率は最高税率が上がり、課税所得4,000万円超の部分の税率は45%になりました。(図1)

すでに住民税の均等割額は一律1,000円増、東日本大震災からの復興対策のために設けられた復興特別所得税が基準所得税額の2.1%分で課税されていたことに加えて平成27年度(2015年度)からは相続税も基礎控除額が引き下げられ税率も上がりました。 しかし、企業の世界的競争力の向上をめざす政府の方針により、法人税率は今後も低下傾向です。 そのために今、賃貸経営では法人を利用した節税が注目されています。

法人化とは具体的にどうするのですか?

個人の賃貸経営所得を法人に移転させる主な手法には、管理料徴収方式と不動産所有方式があります。

管理料徴収方式(図3)では土地・建物は賃貸マンションオーナー様ご所有のまま、親族が設立した不動産管理会社へ管理委託料を払い、会社が管理します。賃貸マンションオーナー様の所得を分散させ、所得税の節税が可能ですが、管理実態や管理料割合などは税務調査でトラブルになりがちなので要注意です。

不動産所有方式(図4)では親族が設立した不動産管理会社に賃貸マンションオーナー様が建物もしくは土地と建物を売却し、会社が所有者となって管理運営します。家賃収入は100%会社に入るので、所得の分散効果は最も大きくなります。 また、法人には相続が発生しないため相続税を節税でき、親族を会社の経営者にして事業継承承継できます。さらに、築年数を経た建物の場合、簿価よりも通常安くなる時価で売却せざるを得なくなっても、その差額である譲渡損は、確定申告で損益通算して所得税を圧縮することが可能です。

賃貸経営に不動産管理会社を設立するメリットとは?

以上の通り法人化には税務上のメリットがあるものの、個人事業には無い法人税や事業税などの負担も生じます。 所得税・相続税を節税でき、賃貸経営全般を健全に保てるかどうかはお一人お一人の状況により異なります。 詳しくは税理士などの専門家に相談されることをお勧めします。

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